オアシスが半年ででき上がる

―きれいな水を売ると同時に作業員や集金担当者などの雇用を生んでいますね。

 現在550万人に水を供給しており、集金などを行うポリグルレディが800人、ポリグルボーイが300人いる。さらに自転車やバイク、車などで奥地に水を売りにいく人が2000人から3000人いる。幹線道路沿いのある設備ではバス停ができ、レストランができ、雑貨屋ができ、道の駅のようになった。この裏手には家が建つようになった。まさにオアシスのようで、たった半年で町ができる様子をみることができた。

バイクで水を売る人(タンザニア)

こんなこともあった。ポリグルレディが集金に行くと2ドル払えないという人がいた。その人たちは鶏やマンゴーを持っていってくれという。どうしましょうと相談があったから現金に代えることができるのならいいよというと、翌日からすぐに実施し、マーケットに行って売るようになった。売り上げは2ドル以上になり、安くもらって高く売るという、今までにない経験ができ、女性たちがえらく張り切り出した。ポリグルの一番の貢献は安全な水を供給することだが、そのほかにも道の駅ができる、地域が活性化する、働く意欲が出たといったことも忘れてはならない。

日本企業による社会貢献的な出資も可能に

―日本の企業がこの事業にかかわれるようにするお考えがあるそうですね。

現地には金融の仕組みができていない。そこで、ファイナンスをつけるということを考えている。今後新しく開設する給水場に対して、その費用を日本企業に出資してもらい、利益を配分するというやり方だ。考え方は自動車と同じ。自動車の購入者に対するローンは、自動車会社が自らファイナンス会社を設立することもあるし、別の会社がローンを提供することもある。そうした債権が証券化されたり、設立したファイナンス会社が売買されたりもしていて、ファイナンスが自動車の普及を格段に促進した。これと同じようなことをやろうとしている。

また設備を日本企業に所有してもらい現地の給水事業者にレンタルするということも考えられる。そうしたことに社会貢献的な出資としてやっていただき、2万ドルという初期の負担が軽くできれば、これまで届けることができなかった地域にも安全な水を届けることができる。もちろん、現地の政府にも大変喜ばれるはずだ。リスクもあるが、適切なリターンも期待できる。寄付ではないから、より大きな規模にもできる。その他、クラウドファンドなども考えている。

少し前BOP(低所得層を対象とする国際的な事業活動)がはやった。今はSEG投資(企業の価値を測る材料として、環境=Environment、社会=Social、ガバナンス=Governanceを考慮する投資)や、SDGs(持続可能な開発目標)がブームとなっていている。我々が取り組んでいるビジネスは確かにSDGsに合致し、しかも最も難しいといわれる貧困問題やSDGsの基盤といわれる水問題に対応するものだが、お金がないから、こういう仕組みを作ることができた。よく大企業からどう取り組んだらいいのかと聞かれることがあるが、既存の延長という感覚のままでは、そんなに簡単にできるものではない。だが、まず金融からという形であれば、日本の企業でもリスクをコントロールしながら入ってきてもらうことができるのではないかと考えている。