「ペロシ円安」で浮き彫りになった日本の新たな地政学的リスク

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台湾に到着したペロシ米下院議長(Photo By Reuters)

台湾有事で最大の貿易国との経済関係が断絶か

米NBC放送は2022年5月に米軍事専門家が監修した中国の台湾武力侵攻と米軍反撃についてのシミュレーションをオンライン配信している。番組では中国が緒戦で在日米軍基地をミサイルで先制攻撃すると予想。軍事専門家の間では台湾有事の場合、日本本土で軍事作戦が展開され自衛隊の参戦は避けられないとの見方がもっぱらだ。

日本の大都市が中国軍から攻撃を受けるかどうかは未知数だが、国内の米軍基地を攻撃されれば中国との戦争状態に突入することになる。日中間の経済活動はストップし、経済に与える影響は軍事攻撃の被害以上に深刻だろう。

ジェトロによると2021年の日中貿易総額は前年比15.1%増の3914億4049万ドル(約52兆1600億円)と、3784億2490万ドル(約50兆4300億円)だった2011年以来、10年ぶりに過去最高を更新している。日本にとって中国は、輸出入の双方で最大の貿易相手国なのだ。

こうした状況からペロシ議長の訪台で台湾海峡の緊張は高まり、日本の地政学的リスクが投資家を「円売り」へ走らせたといえる。今後の状況次第ではさらなる円安に加えて、3日には前日比147円17銭高となった東証の日経平均株価が暴落に転じる懸念も浮上しそうだ。

文:M&A Online編集部

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