大学発ベンチャーの「起源」(53)  サグリ

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サグリ(兵庫県丹波市)は岐阜大学発のハイテク農業支援ベンチャー。人工衛星やドローンの撮影データを利用した農地調査技術が高く評価されている。同社最高技術責任者(CTO)を兼務する田中貴同大応用生物科学部助教の人工衛星やドローンによるリモートセンシングでの豊富な経験をベースとし、2018年6月に創業した。

耕作放棄地や空き家を画像データから自動判定

衛星データとAI技術・区画(ポリゴン)化技術を掛け合わせたデータプラットフォームを構築し、農業分野での課題解決に取り組む。自治体には法律に基づく農地の利用状況調査が義務付けられている。現在の調査は農業委員が担当区域を歩き回って農地を目視で確認しながら状況を紙の地図に書き込み、その結果を自治体職員がシステムへ入力するという手順を踏んでいる。

サグリはデジタル地図上で耕作放棄地などの農地利用状況を把握するアプリ「ACTABA(アクタバ)」を自治体向けに提供し、調査の負担軽減や耕作放棄地の早期発見などで高い評価を受けているという。衛星写真から農地の状況を人工知能(AI)が判断し、耕作放棄地とみられる土地を赤色で塗りつぶして一目で分かるようにしている。

日本では少子高齢化に伴う就農人口の減少などで耕作放棄地が増加している。その早期把握は国や地方自治体にとって急務となっており、調査・判定を迅速に自動処理する同社の技術に対する期待は大きい。

サグリは創業直後の同10月に第1回第三者割当増資による資金調達に成功した。2020年2月にも同様の資金調達に成功。2021年6月には、みなとキャピタル、池田泉州キャピタル、広島ベンチャーキャピタル、ひょうご神戸スタートアップファンドなどを引受先とする総額約1億5500万円の第三者割当増資を実施している。

ACTABAの耕作放棄地の判定精度は初期段階で9割を超え、利用者が増えれば機械学習でさらに精度が高まるという。同社は上空からの土壌診断により適正な肥料使用量を計算して肥料コストの削減を実現する、農家向けのサービスにも参入する。

農業以外の活用も進む。2021年11月に空き家調査などを手がける空き家活用(東京都港区)と提携し、サグリの人工衛星やドローン撮影による画像解析で調査を効率化。調査員による現地訪問調査に比べて、かかる時間と費用が約3割も削減できたという。今後もさまざまな活用が見込めそうだ。

文:M&A Online編集部

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