インサイダー(1999年)

1990年代半ばに行われた米50州によるタバコ産業への訴訟を基にしたドラマ。人気ドキュメンタリーのプロデューサーのもとにタバコ産業の不正を告発する資料が送られてきたことをきっかけに巻き起こる、事実を公開したいジャーナリストとそれを妨害したいタバコ産業の熾烈な攻防が描かれている。 

 

【あらすじ】

CBC放送の人気ドキュメンタリー番組”60ミニッツ”。番組プロデューサーのローウェル・バーグマンのもとに、ある日匿名でタバコ産業の不正に関する資料が届けられる。その資料の解説のため、大手タバコメーカーのB&W社の元研究開発担当副社長であるジェフリー・ワイガンドにインタビューを申し込むが、ワイガンドはB&W社から圧力をかけられインタビューを妨害される。しかし信念に基づきワイガンドはインタビューに応じ、別のタバコ訴訟の法定でもタバコ業界が否定するニコチンの影響について証言をすることを決心。これによりワイガンドへの圧力はさらに強まり、CBC放送もまたタバコ産業側から訴訟を匂わされ、ワイガンドのインタビュー放送を自粛してしまう。バーグマンも現場から引きはがされてしまうが、ワイガンドとの約束を守るため、予想外の方法でワイガンドの語った事実を世に出すよう試みる。 

【見どころ】

ジャーナリズムの敗北

CBCがワイガンドのインタビュー放送を見送った背景には、CBCが進めている会社売却の話があり、B&W社から告訴された場合に支払う巨額の賠償が大きな悪影響を及ぼす可能性があった。国民の健康のために真実を伝えるジャーナリズムの矜持が、CBCオーナーの利益により歪められ、バーグマンの上司、”60ミニッツ”の司会で硬派ジャーナリストのウォレスもインタビューの公開に反対する。現代に置き換えても、我々が目にするニュースの全てが真実を伝えているものではないであろうことを思い知らされる。

熱血ジャーナリスト・バーグマンに見る「仕事への情熱と矜持」

数々のスクープを世に送り出してきた”60ミニッツ”を支えてきたのは、プロデューサーであるバーグマンが貫く情報提供者への「約束は絶対に守る」姿勢だった。ワイガンドに対しても例外ではなく、会社から様々な圧力をかけられても決して折れることなく信念を貫く姿勢に、仕事に対する情熱と矜持とは何かを考えさせられる。

若き日のラッセル・クロウの名演技

ワイガンドを演じたラッセル・クロウは本作がアメリカで公開された1999年11月5日の時点で35歳。アカデミー賞俳優である59歳のアル・パチーノ(1993年受賞)、70歳のクリストファー・プラマー(2012年受賞)といった錚々たる面子に臆することなく堂々と渡り合った。人生を台無しにされ、やり場のない怒りを抱えながらも正義を貫くワイガンドの姿は一見の価値あり。

映画インサイダー

<作品データ>
原題:The Insider/邦題:インサイダー
1999年・アメリカ(2時間37分)

文:M&A Online編集部