使い切れないほどの財を得たものの、独身のまま晩年を迎えたジョーは、財産目当てと知りつつも寄ってくる親戚を突き放せない。義理もないのに自分を大切にしてくれるモリーへ心を開き、他の親戚とは違う何かを感じさせるダニーへ期待を寄せるのも、すべては「誰が自分を愛してくれるのか知りたかった」に尽きるだろう。
一文無しになり無料の施療院に身を寄せたジョーの前に姿を現したのは、肉親としての愛情でジョーに接する覚悟を持ったダニーだった。ダニーは結婚を決めたロビンとの住まいにジョーを呼び寄せ、面倒を見ると宣言。そんなダニーへジョーはあてがわれた部屋が狭いと文句をいうが、ダニーとロビンは、あきれながらも笑顔で受け入れた。
巨額の富を得ながらも、ずっと孤独だったジョー。一度は離れたダニーが告げた面倒を見るという宣言は、ずっと求めていた肉親の愛情。この一言こそが、ジョーにとって何物にも代えがたい最後の財産となっただろう。
最後のどんでん返しで、ジョーの財産は健在であることを知らされたダニーとロビンは、ジョーの屋敷で一緒に住もうと招かれる。願わくは、ジョーにはこのまま愛情に包まれた余生を過ごして欲しいものである。
<作品データ>
原題:Greedy/邦題:遺産相続は命がけ!?
1994年・アメリカ(1時間52分)