イーサン・ホークが怪演!『テスラ エジソンが恐れた天才』

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© Nikola Productions, Inc. 2020

テスラ側から描いた電流戦争

オバマ元米国大統領やあのスティーブ・ジョブスからも熱いリスペクトを受けた天才発明家ニコラス・テスラ。時代を変えた発明家である一方で、孤高・異端・狂気と言った言葉で表現されることが多い、この偉人を描いた映画『テスラ エジソンが恐れた天才』が3月26日に日本公開となります。

日本では昨年6月に公開されたベネディクト・カンバーバッチ主演の『エジソンズ・ゲーム』でも描かれたアメリカでの電力供給方式をめぐる“電流戦争”の様を、今度はニコラス・テスラの側から描いています。

『エジソンズ・ゲーム』ではニコラス・ホルトが演じていたテスラを演じたのは、イーサン・ホーク。『6才のボクが、大人になるまで。』などでアカデミー賞に4度ノミネートされ、『いまを生きる』や『リアリティ・バイツ』で華々しい人気を獲得した後、リチャード・リンクレイターやアントワーン・フークアなど鬼才監督の作品に出演し、30年以上に渡って第一線でキャリアを重ね、その演技の幅をひろげ続けています。

あらすじ紹介

時は1884年。移民としてニューヨークへやって来たニコラ・テスラは、トーマス・エジソン(カイル・マクラクラン)が経営する会社に就職します。エジソンのもとで驚異的な発明を成し遂げるつもりだったテスラでしたが、直流電流を支持するエジソンから、テスラが研究する交流電流を否定されてしまいます。

失望の果てにエジソンの会社を辞めたテスラは、1年後に交流方式を完成させ特許を取得します。しかし、発明家で実業家のジョージ・ウェスティングハウス(ジム・ガフィガン)と手を結ぶことで勢いに乗ったテスラに、エジソンが勝負を挑んできます。こうして交流 vs 直流の「電流戦争」の幕が切って落とされました。

その頃テスラは、金融家で大富豪のJ・P・モルガンの娘アン(イヴ・ヒューソン)と知り合い、惹かれあいます。テスラの天才ぶりに興味を抱くアンに取り入れば、最大の後ろ盾を得られることは分かっていましたが、不器用なテスラは自分の流儀でしか近付くことができません。アンは逆にそんなテスラに惹かれます。

1893年、電流戦争はテスラの鮮やかな勝利で幕を下ろします。エジソンは電力システムから手を引き、別の発明に注力していきます。テスラは一夜にして時の人となり、熱狂的な人気を集めることに。

次のテスラの狙いは、地球のどこにいても連絡が取り合える、高周波の電磁パルスによる送電。1899年、テスラはコロラド州に渡り、研究に没頭します。この発明が実現したら、「NY株式市場から瞬時に株価を得られる」とふんだJ・P・モルガン(ドニー・ケシュウォーズ)が、テスラに15万ドルを投資します。しかし研究は一向に進まず、別の科学者がテスラより先に無線通信を成功させてしまいました。資金も尽き果て、テスラは苦境に立たされます・・・。

『エジソンズ・ゲーム』と見比べて

ニコラス・テスラはエジソンと比較すると、残されている資料が少なく(劇中で、検索するとエジソンに比べてテスラのページが圧倒的に少ないという描写があります)、神秘のベールに包まれているイメージがあるため(オカルトの人とまで言いませんが・・・)、映画でフィクションの人として登場することが多々あります。。

例えば、前述の『エジソンズ・ゲーム』以外にも、クリストファー・ノーラン監督の『プレステージ』にキーパーソンとして登場しました。この映画ではデヴィッド・ボウイがテスラを演じたこともあって、短い出番ながらも大きな印象を残しました。日本でも映画『K-20 怪人二十面相伝』やゲーム『Fate/Grand Order』にその名前が登場しています。

本作は、エジソンとの対決シーンで実際にあった電気椅子での生々しい処刑の描写がある一方で、突如語り手のアン・モルガンがパソコン片手にキーワードを検索して見せたり、イーサン・ホーク演じるテスラがマイクの前で歌声を披露したりするなど、ユーモラスであっと驚く演出が挿入されています。

脚本自体は早くも1980年代には完成されていたそうですが、テスラ役にイーサン・ホークをオファーしたことで、一気に映画化が実現しました。「孤高の天才」の「孤独と狂気」を見ることができる一本です。

文:村松健太郎(映画文筆家)

作品データ
原題:TESLA
監督:マイケル・アルメレイダ
2020年 / アメリカ / 103分 / 日本公開:2021年3月26日
© Nikola Productions, Inc. 2020

テスラ エジソンが恐れた天才

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村松 健太郎 (むらまつ・けんたろう)

映画文筆家

2002年から映画館勤務で業界入り。2016年頃から映画文筆家として活動を開始。脳梗塞を患ったために杖片手に試写室や映画会社を行ったり来たりしています。映画祭の審査員やインディーズ映画の宣伝などもしていますが、興行出身ということもあって、少しでも多くの人の足が劇場に向かってほしいと願う日々です。年間300本の新作とそれ以上の過去関連作を見て回っています。 

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