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地域活性化をテーマに大泉洋演じる町長が奮闘『プラチナタウン』

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多額の負債を抱える架空の町「緑原町」を舞台に、故郷の町長へ転身するエリート商社マンの奮戦を描くビジネスドラマ。美しい北海道の自然を背景に、渦巻く権謀術数に立ち向かう若き町長を大泉洋が熱演する。原作は楡周平。2012年にWOWOWで放送された。

『プラチナタウン』のあらすじ

大手商社の四井商事に勤める山崎鉄郎(大泉洋)は、幼なじみの熊沢健二(平山浩行)から誘われた同窓会で、町長就任を依頼される。故郷・緑原町は約150億もの負債を抱える財政破綻寸前の状態に陥っており、その原因を作った町長が体調不良を理由に逃亡。この惨状を立て直せるのは地元をよく知っている優秀なビジネスマンしかいないと健二はにらんでいた。突然の依頼に一度は断る鉄郎だったが、仕事のやりがいを見失っていたことも後押しし、故郷を救うため新町長への就任を決意する。

しかし既得権益で甘い汁を吸い続ける町議のドン・鎌田武造(柄本明)から、就任直後にすぐさま町の救済策を出すよう無理難題を押しつけられる。いいアイディアが見つからないまま時が過ぎる中、鉄郎は母が持っていた老人ホームの小冊子をヒントに、企業誘致用の空き地を使った老人向けテーマパークタウンの構想を練る。

議会で承認を得た鉄郎は、さっそく四井商事時代の同僚・牛島幸太郎(田中直樹)や、かつての恋人で広告プランナーである仲里恵里香(檀れい)の協力を得て事業計画を作成する。四井商事に事業を受注してもらえるよう牛島のプレゼンに期待をかける鉄郎だったが、鉄郎とウマが合わなかったかつての上司・八代(小木茂光)の妨害にあい、プレゼンは失敗に終わった。

しかし、四井商事のライバル会社である東光物産の児島由紀夫(渡部篤郎)が、恵里香から構想の話を聞き協力に名乗りをあげる。課題となっていた永続的な集客も、児島の見事な手腕で解決。東光物産の役員会議にかけられた事業計画は、見事承認を得た。

あとは正式発注を迎えるのみとなったその矢先、鉄郎の元へ町長への不信任案決議の知らせが届く。これは老人向けテーマパークタウンの計画を乗っ取ろうとする、鎌田からの差し金であった…。

地域活性化の鍵は「F4層」にあり

地域活性化のためには若者を集める必要があり、人気のスポットが必須である、という考えから抜け出せなかった緑原町の人たち。その結果、ペンギンが一羽しかいない水族館や、月間利用者ゼロの体育館など、維持費がかさむハコモノの公共施設だけが残っていた。

鉄郎もはじめは若者の流入に注目していたが、老人のための仕事が若者を連れてくるという逆転の発想に切り替え、数々の問題を一度に解決。地域活性化への第一歩を踏み出す。

総務省統計局の推計によれば*、全人口に対する65歳以上の高齢者の割合は2020年の時点で28.7%。これが2040年には35.3%まで増えると予想されている。また世帯別の平均貯蓄額は60~69歳世帯が第一位で2330万円。一方で世帯別の負債額は70歳以上が平均70万円、60~69歳が250万円と、住宅ローン等の返済も終え、他世代に比べて非常に少額だった。

本作では、公共施設の利用者を老人向けターゲットに絞ったテーマパークタウンの構想が進行。経済活動の主役を若者ではなく高齢者に担わせる計画が進む。さらに恵里香は65歳以上の女性をターゲットにしたプロモーションプラン「F4計画」を立案。経済力のある老人の再活性化を掲げた。

若い女性が流行を作るという理念のもと、企業のプロモーションはF1層(20~34歳の女性)・F2層(35~49歳の女性)向けに偏りがちだ。しかし実際に自由に使えるカネを持つ65歳以上をターゲットにするというのは理にかなっている。

*参考資料
統計からみた我が国の高齢者(総務省)
世帯属性別にみた貯蓄・負債の状況(総務省統計局)

活性化を阻害する要因は「変化への嫌悪」と「短期的目線」

地方創生が叫ばれて久しいが、依然として少子高齢化に悩む地域も少なくない。町おこし・村おこしを掲げ、旅行客や移住者を募る自治体は多い。しかしその多くは定住には至らず、根本的な解決とは言えない。

原因はさまざまだろうが、そのひとつに「変化を嫌う」風土の影響があるだろう。人口が増えることへの環境の変化を嫌だと思う、新参者に自分がこれまで得ていた利益を奪われるかもしれないと感じる…。未来に向けた傷み分けを受け入れられない人々が、協力を拒んでしまう…。

本作で緑原町は150億円もの負債を抱えており、企業の破産にあたる「財政再生団体」への転落が目前と迫るなか、町議員たちは依然として利権にしがみつき、鉄郎たちの新たな挑戦を妨害する。未来へつなぐ挑戦であることを知っていも、短期的な損失を伴う変化は受け入れられないのだ。

現実に目を向けると、コロナ禍でUターンする若者がわずかだが増えているという話も聞く。『プラチナタウン』を観ながら、自身の故郷に目を向けるのも悪くない。

文:M&A Online編集部

<作品データ>

『プラチナタウン』
原作:楡周平
脚本:大石哲也
監督:鈴木浩介
2012年/日本/全5話(計260分)
WOWOW

プラチナタウン

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