PMIの参考に?買収後のドタバタ劇を描く『危険な動物たち』

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危険なのは動物か?人間か?

映画『危険な動物たち』は、買収された動物園の悲喜劇を描くブラック・コメディ。ケヴィン・クラインがアカデミー賞助演男優賞を受賞した『ワンダとダイヤと優しい奴ら(1988年)』のほか、メインキャストであるジョン・クリーズ、ジェイミー・リー・カーティス、マイケル・ペイリンが再結集。直接的なつながりはないものの、姉妹編的な作品として楽しめます。

イギリスのコメディ・グループ「モンティ・パイソン」のジョン・クリーズが『ワンダとダイヤと…』に引き続き、製作・脚本も兼任しています。

『危険な動物たち』あらすじ

アメリカの大企業オクトパスに買収されたイギリスの動物園。新園長となったロロ(ジョン・クリーズ)は会社から増収を命じられます。そこでロロは、今までにない危険で凶暴な動物たちのみで園内を構成するという一手を思いつき、これまで園内にいた愛らしい動物たちを殺処分しろと言い出します。

飼育係(マイケル・ペイリンら)は、自分たちでは到底できないのでロロに殺処分をしろと迫り抵抗を見せます。

そこに、本社から社長の息子・ヴィンス(ケヴィン・クライン二役)と野心家のウィラ(ジェイミー・リー・カーティス)が動物園の再建のために派遣されてきて、混乱はさらに増し、過剰な商業主義に突き進んでいきます。

動物園とかわいい動物たちの運命は、果たしてどうなるのでしょうか?

英米”笑いのセンス”の違いを楽しんで

姉妹編的『ワンダとダイヤと優しい奴ら』、本作の『危険な動物たち』はともに英米の笑いの違いを映画に盛り込むというコンセプトがあり、そのため登場人物はどれも大なり小なり誇張された特性を持っています。

オクトパス社長のロッド・マケインは、父親からビジネスを引き継ぎ財を成した人物で、ドナルド・トランプを彷彿とさせる過激な企業人をカリカチュアしたようなキャラクター造形です。ドラ息子のヴィンスと併せてケヴィン・クラインが一人二役の演技をしているのも見どころで、これがクライマックスに活きてきます。

動物園の新園長はモンティ・パイソン出身のゴリゴリのイギリス人のジョン・クリーズが演じているのになぜかアジア人という設定で、この辺りの不条理さはイギリスのクラシカルな笑いから来ています。

絶叫クイーン2世のジェイミー・リー・カーティス

野心家のウィラを演じるのは、ジェイミー・リー・カーティス。ホラー映画『ハロウィン』で絶叫クイーンとして一世を風靡した後、コメディ路線に転身。この頃は一番脂がのっていた時期で、ケヴィン・クラインやジョン・クリーズ、さらには様々な動物たちと絶妙なやりとりを見せてくれます。ちなみに母親はヒッチコック作品の『サイコ』で絶叫を見せたジャネット・リーです。

エンディングに込められたメッセージ

終盤のドタバタから駆け抜けるようなエンディングはブラックな笑いに包まれていながら、気が付けばなぜかハッピーエンドになっているという何とも不思議な着地の仕方をします。

もともと動物園と言う存在自体が、本来野生の存在である動物を自然から切り離し、人工的に再現した自然の中で飼育・観察する施設という一面を持っています。

映画『危険な動物たち』はそんな動物園で自分たちのエゴで動物の生死を決める人間こそどんな猛獣よりも“危険な動物たち”なのではないかというアンチテーゼにもなっています。

文:村松 健太郎(映画文筆家)

作品データ

原題:Fierce Creatures
監督:フレッド・スケピシ、ロバート・ヤング
脚本:ジョン・クリーズ、イアイン・ジョンストン
出演:ジョン・クリーズ、ジェイミー・リー・カーティス、ケヴィン・クライン、マイケル・ペイリン
製作:米国(1997年)
上映時間:93分

危険な動物たち


村松 健太郎 (むらまつ・けんたろう)

映画文筆家

2002年から映画館勤務で業界入り。2016年頃から映画文筆家として活動を開始。脳梗塞を患ったために杖片手に試写室や映画会社を行ったり来たりしています。映画祭の審査員やインディーズ映画の宣伝などもしていますが、興行出身ということもあって、少しでも多くの人の足が劇場に向かってほしいと願う日々です。年間300本の新作とそれ以上の過去関連作を見て回っています。 

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