前代未聞の月曜公開で8億!『シン・エヴァンゲリオン劇場版』週末はどうなる?

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©カラー/EVA製作委員会、©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

3月8日劇場体感レポート

3月8日、待ちに待った『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の公開初日を迎えました。インターネットでの販売が3月5日午前0時に解禁されると同時に即完売の上映回が出るなど、普段の平日である月曜日とは明らかに違う様子です。

私が向かった映画館は、TOHOシネマズ新宿。私は『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』もこの映画館で初日を見ており、「鬼滅と比べてシンエヴァはどんなことになっているのだろうか?」と恐いもの見たさのような感情を持ちながら映画館に足を踏み入れました。

いざ劇場に入ると、そこは“3密”も何もあったものではないというほどの混み具合。グッズショップの列、入場を待っている人たちの列、チケット購入・発券の人たちの列が重なり、ロビーにできているこの行列は何の列なのか?とわからなくなる程でした。

結論を言うと(あくまでも個人的な肌感覚ではありますが)観客の量と熱に関してはシンエヴァは決して鬼滅の刃に負けていないと感じました。むしろ、上映回数のことを考えると約半分の上映回数で鬼滅の刃に匹敵する観客の盛り上がりと熱量を持った初日を(しかも平日で)シンエヴァが迎えたことは、特筆に値するといっていいでしょう。

私は長年、映画興行(映画館)の場に身を置き、様々な混雑の風景を見てきましたが、祝祭日ではない月曜日でこんなに映画館が混んだことは記憶にありません。2021年3月8日は、平日の日本で最も映画館が混んだ月曜日になったのではないかと思います。

異例の平日公開でも興行収入8億円

実際に『シン・エヴァンゲリオン劇場版』公開初日の興行収入は8億277万4200円、観客動員数は53万9623人と報道されました。異例の月曜日公開(平日)でこの数字。大ヒットが期待されます。

『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の興行収入(公開初日)

日付 興行収入 観客動員数
2021年3月8日(月) 8億277万4200円 53万9623人

『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』の興行収入(公開3日間)

日付 興行収入 観客動員数
2020年10月16日(金) 12億6872万4700円 91万507人
〃 17日(土) 17億172万3350円 127万234人
〃 18日(日) 16億5266万9400円 123万9752人

コロナに翻弄されたシンエヴァの公開日

当初、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』は2020年6月27日に公開される予定でした。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて公開延期となります。その後、2020年10月16日『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』に第三弾特報が投下され、エヴァの公開日は2021年1月23日に決定しました。

しかしコロナの感染再拡大による2回目の緊急事態宣言が発令され、1月23日の公開はさらに延期されることに。2度の緊急事態宣言による影響は、映画界において決して小さなものではありませんでした。

映画の公開は”競合”を常に頭に入れながら編成しています。シンエヴァの大ヒットは間違いなく、多くの作品が競合を避けていました。しかし公開日が度々延期となり、結果として1月23日の週からこれまでの映画興行は、寂しい並びとなってしまいました。『花束みたいな恋をした』のサプライズヒットはありましたが、エヴァの穴を埋めるほどではありませんでした。

こうなってくると、シンエヴァの公開日がいつになるのか注目が集まります。

競合作品の公開予定日をみてみると、4月16日に1年の空白を経て『名探偵コナン緋色の弾丸』、翌週の23日には大ヒットシリーズ第4弾『るろうに剣心最終章The Final』が公開。以降、ゴールデンウイーク期間の5月14日に『ゴジラVSキングコング』が、さらに初夏にはシンエヴァの総監督・庵野秀明が脚本を担当した『シン・ウルトラマン』が控えています。

しかし、『シン・ウルトラマン』より後にシンエヴァが公開されるというのは、なんとも納まりも悪く感じます。

公開予定日 作品名
4月16日 『名探偵コナン緋色の弾丸』
4月23日 『るろうに剣心最終章The Final』
5月14日 『ゴジラVSキングコング』
2021年初夏 『シン・ウルトラマン』

そんな中で、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の公開日が3月8日の月曜日と緊急事態宣言が明けた翌日を設定しました。

ところがまたもや宣言の2週間延長が決まります。宣言解除後という当初の想定とは変わりましたが、1月23日の公開延期を決めたとき、ファンに向けて“共に乗り越えましょう”というメッセージを出しました。ウィズコロナへの覚悟をシンエヴァは公開日という形で示したことになります。

不運な巡り合わせ、逆襲のシンエヴァとなるか

鬼滅の記録的な大ヒットは年間約1200本というレッドオーシャンだった映画興行に、コロナ禍による公開延期・公開縮小による大きな空白が生まれ、映画館の上映枠をフル活用した結果であるとの記事を書かせていただきました。

200億円突破!コロナ禍を逆手に取った『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』

実際に鬼滅の刃は都内のシネコンで1日40回以上の上映回数を確保しフル回転させました。対してシンエヴァの上映回数は約半分の20回、稼働している映画館の中では最大限の上映枠と言えますが、やはり鬼滅並みの供給体制には無理があるようです。

コロナの大きな波の直後という絶妙なタイミングで公開された鬼滅の刃はその空白を最大限に生かして大ヒットとなりましたが、シンエヴァはコロナの波のど真ん中に身を置き続ける・・・という不運な巡り合わせが続いてしまっています。

庵野秀明総監督と言えば、2016年公開の『シン・ゴジラ』が思い出されます。大ヒット間違いなしと思ったら、直後に公開された『君の名は。』の社会現象でまさかのブレーキを喰らった経験もあり、映画興行の抗えない難しさを感じる部分でもあります。

コロナ禍に泣かされた『シン・エヴァンゲリオン劇場版』は逆襲となるのでしょうか。今週末の興行収入が楽しみです。

文:村松健太郎(映画文筆家)/編集:M&A Online編集部

シン・エヴァンゲリオン劇場版
©カラー/EVA製作委員会

村松 健太郎 (むらまつ・けんたろう)

映画文筆家

2002年から映画館勤務で業界入り。2016年頃から映画文筆家として活動を開始。脳梗塞を患ったために杖片手に試写室や映画会社を行ったり来たりしています。映画祭の審査員やインディーズ映画の宣伝などもしていますが、興行出身ということもあって、少しでも多くの人の足が劇場に向かってほしいと願う日々です。年間300本の新作とそれ以上の過去関連作を見て回っています。 

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『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が10月16日公開からわずか24日で興行収入は204億円に達し、国内歴代トップ5にランクインしました。大ヒットの理由は、供給サイドがチャンスロス(機会損失)を防ぐ体制を整えたことにあります。