金融庁は、2025年3月14日に、令和6年金融商品取引法等改正に係る政令・内閣府令案等を公表しました。これは、2024年5月15日に成立した令和6年金融商品取引法改正のうち、主に公開買付制度及び大量保有報告制度の見直しに関する関係政令・内閣府令等の整備を行うものであり、主な改正等の内容は以下のとおりです。
(a)公開買付制度の対象となる取引範囲の見直し
公開買付けが必要となる閾値が3分の1超から30%超に引き下げられたことに伴い、適用除外買付けの範囲として、①50%超から2/3未満までの間となる特定買付け等の適用除外制度は廃止された一方、②僅少買付けに関する適用除外制度の閾値が明確化された。具体的には、既に議決権の 30%超を所有している者が行う、買付け等の後における株券所有割合が2/3未満となる買付け等であって、大要、当該買付け等の買付日前1年間における買付け等及び売付け等も含めた議決権割合の増加が 1%未満の買付け等に該当する等の要件を満たす場合には、公開買付けは不要とされている。
(b)形式的特別関係者の範囲の見直し
市場内取引を規制対象としたことに伴い、形式的特別関係者の範囲から、買付者の親族並びに買付者が特別資本関係を有する法人等及び買付者に対して特別資本関係を有する法人等の役員が除外された。
(c)公開買付手続の柔軟化
公開買付期間中に対象者が配当を行う場合等に公開買付価格の引下げを行うことが可能となった。
公開買付けの撤回事由として、公開買付け開始日以降における買収防衛策の導入、公開買付けを通じた株券等の取得が法令(外国の法令を含む。)違反となる場合等の事由が追加された。
公開買付期間に関する規制、公開買付けの撤回に関する規制及び全部勧誘義務に関する規制について、個別事案ごとに当局の承認を得た場合には規制を免除するとされた。
(d)その他、公開買付届出書の「買付け等の目的」欄の記載事項の明確化等、公開買付届出書等の様式の見直しが行われた。
(a)企業と投資家の対話の促進に向けた規定の整備等
「共同保有者」に該当しないこととなるための要件の1つである「個別の権利の行使ごとの合意」の具体的内容として、発行者の株主総会等ごとにする合意であって、合意の対象とする当該発行者の株主総会等の議案を他の議案と明確に区別できるよう特定し、かつ、当該議案に対する賛否を定めて、共同して議決権を行使すること、の要件を満たす必要があると定められた。
また、重要提案行為等に該当することとなる提案内容について、役員の選任を追加する等、見直しが行われた。
(b)現金決済型エクイティ・デリバティブ取引に関する規定の整備
現金決済型エクイティ・デリバティブ取引について、大量保有報告制度の適用対象となるための要件、当該デリバティブ取引に係る権利を株券等の数に換算する方法に関する規定が整備された。
(c)みなし共同保有者の範囲の見直し
役員兼任関係や資金提供関係等、一定の外形的事実がある場合をみなし共同保有者に追加するとされた。
(d)その他、大量保有報告書の「保有目的」欄や「担保契約等重要な契約」欄等の記載事項の明確化、共同保有者間で引渡請求権等が存在する場合の株券等保有割合の計算方法の適正化等とともに、大量保有報告書の様式の見直しが行われた。
上記の政府令等の改正案に対するパブリックコメントは 2025年4月13日17時まで募集されています。かかる意見募集手続を経て、公布・施行される予定ですが、パブリックコメントの結果を踏まえ、内容が変更される可能性があります。これらの改正がM&A やキャピタル・マーケッツの実務に対して与える影響は大きなものとなることが想定され、今後公表される予定のパブリックコメントに対する金融庁の回答について注視していく必要があると考えられます。
パートナー 大石 篤史
パートナー 鈴木 克昌
アソシエイト 鈴木 彬史
アソシエイト 橘川 文哉
アソシエイト 上村 莉愛
森・濱田松本法律事務所 Client Alert 2025年4月号(第136号)より転載
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