中小企業庁は、中小M&Aガイドラインの初版の公表から3年程度経過し、新たに見えてきた課題に対応するため、2023年9月、中小M&Aガイドラインの改訂版を公表しました。
近年中小企業の後継者不足に対する対応策として中小M&Aの市場が急速に拡大し、マッチング支援やM&Aの手続進行に関する総合的な支援を専門に行うM&A専門業者(主に仲介者・FA)が増加する中で、M&A専門業者に関する課題(契約内容や手数料のわかりにくさ、質の低さ等)が見受けられるようになったことから、今回の改訂において、M&A専門業者に関する留意点が拡充されました。改訂の主なポイントとして、(1)M&A専門業者の手数料(レーマン方式等)の留意点や最低手数料の金額の分布状況の整理、(2)M&A専門業者に善管注意義務(忠実義務)及び職業倫理の遵守が求められることの明記・M&A専門業者の質の確保・向上に向けた取組の紹介、(3)仲介契約等の締結前に書面による重要事項の説明が必要であることの明記、(4)仲介契約等における候補先との M&A専門業者を介さない直接の接触・交渉を禁じる旨の条項における留意点の追加が挙げられています。
依然として中小企業における後継者不足の問題は深刻であり、後継者不在を理由とした廃業による経営資源の散逸、地域経済の衰退等を防ぐために、改訂版中小M&Aガイドラインの活用により、中小企業M&Aをより一層促進していくことが期待されます。
<参考資料>
「中小M&Aガイドライン(第2版)」
https://www.meti.go.jp/press/2023/09/20230922004/20230922004-b.pdf
パートナー 大石 篤史
アソシエイト 松尾 博美
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