経済産業省は、2023年6月8日、「企業買収における行動指針(案)」(「本指針(案)」)を公表するとともに、同日から2023年8月4日までの間、本指針(案)に係るパブリックコメントを実施しました。
本指針(案)では、上場会社の経営支配権を取得する買収一般において尊重されるべき3つの原則(①企業価値・株主共同の利益の原則、②株主意思の原則、及び③透明性の原則)や、「企業価値の向上と株主利益の確保」や「株主意思の尊重と透明性の確保」といった基本的視点が掲げられています。また、より具体的に、買収提案を巡る取締役・取締役会の行動規範や、買収に関する透明性の向上、買収への対応方針・対抗方針についての記載がなされています。本指針(案)の概要については、当事務所ニュースレター「経済産業省『企業買収における行動指針(案)-企業価値の向上と株主利益の確保に向けて-』についてパブリックコメントを開始」(CORPORATENEWSLETTER2023年6月号(Vol.40))をご参照ください。
今後、パブリックコメントにおいて広く国内外から集められた意見を踏まえた上で、「企業買収における行動指針」が策定される予定です。「企業買収における行動指針」が実務に与える影響はかなり大きなものとなると考えられますので、今後の動向に注意する必要があります。
パートナー 大石 篤史
アソシエイト 木内 遼
買収防衛策を巡って活発な議論が行われるのは、日本の買収やその防衛策の法理は欧米とは異なるため、当然であり、今後のM&Aマーケットの発展のためには有益なことであると思われる。