トップ > 調べる・学ぶ > M&A実務 > 統計・レポート >2023年1-3月期 日本企業M&Aの総額は5.3兆円と堅調な滑り出しに

2023年1-3月期 日本企業M&Aの総額は5.3兆円と堅調な滑り出しに

※この記事は公開から1年以上経っています。
alt

【2023年第1四半期】日本企業M&A公表案件ランキング

日本M&A案件 情報概要

日本関連のM&A 19%増加の5兆円

2023年第1四半期(1-3月期)の日本企業が関与するM&A公表案件は、総額5.3兆円と、前年同期比18.5%増加し、2018年以来の堅調な滑り出しとなった。1,000億円超の案件は総額3.9兆円(10件)となり、1-3月期比52.6%増となった。日本関連M&A全体の案件数は、合計1,129件と前年同期比11.1%減少した。

ハイテクノロジーが市場シェア57%

被買収側企業の業種別で見ると、取引総額が最も高かったのはハイテクノロジーで、総額3兆円と、前年同期比167.9%の増加、市場シェアは56.5%となった。2位は卸売り、サービスで、前年同期比95.3%増の3,940億円に達し、7.4%を占めた。3位はエネルギー電力で、総額3,816億円となり、7.2%を占めた。

バイサイド フィナンシャル・スポンサー アクティビティ 267%増加

日本企業を対象とした、買収側フィナンシャル・スポンサーが直接関与するM&Aアクティビティ(海外・国内案件を含む)は、日本企業関連の42.9%を占めた。その総額は前年同期比267.4%増の2.3兆円に達し、1980年の集計開始以来過去最高となった。案件数は、合計255件で前年同期比22.5%減少した。

国内案件 150%増加 OUT-IN案件 48%増加 IN-OUT案件 50%減少

国内案件は、総額3.6兆円と前年同期比149.5%増加し、2005年に次ぐ歴代2位の高水準となった。今期の首位案件となった、日本産業パートナーズ傘下の、TBJ ホールディングスの子会社、TBJHによる2.1兆円の東芝買収案件は、国内のハイテク関連で歴代1位の規模となり、買収側フィナンシャルスポンサーが直接関与する案件としても過去最大となった。OUT-IN案件は、総額6,364億円と前年同期比47.5%の増加、第1四半期としては2007年以来の高水準となった。OUT-INの最大案件は、シンガポール政府系ファンドGICによる、人事ソフトウエア開発会社のワークスヒューマンインテリジェンス買収案件(3,500億円)。同案件はシンガポールによる日本企業買収案件としては過去最大となった。一方、IN-OUT案件は、前年同期比49.6%減少の総額7,483億円となり、過去10年で初めて1兆円を下回った。

サステナブルファイナンスM&Aアクティビティ 25%増加

サステナブルファイナンス関連のM&Aアクティビティは、総額2,618億円と前年同期比24.8%増加した。今期の上位案件5位にランクインしたのは、東京電力ホールディングスおよび中部電力の合弁会社JERAによる、ベルギーの洋上風力発電会社、パークウィンド買収案件(2,211億円)。同案件は、日本によるベルギー企業買収案件としては過去最大、日本企業による代替エネルギー・資源関連の買収案件としては歴代2位の規模となった。

完了案件 14%増加

2023年(1-3月期)の日本企業が関与するM&A完了案件は、総額4.3兆円と、前年同期比24.3%増加した。案件数は、合計845件となり前年同期比14.7%減少した。

日本M&A マーケット別ランクバリュー

日本M&A マーケット別ランクバリュー(2014-2023年第1四半期)
©Refinitiv(リフィニティブ)

日本企業関連 公表案件 上位10位ランキング

順位 ランク日 被買収側企業 被国籍 ランクバリュー 買収側企業 買国籍
1 2023年
3月23日
東芝 日本 21,152.3
億円
TBJH(日本産業パートナーズ) 日本
2 2023年
3月30日
ワークスヒューマンインテリジェンス 日本 3,500.0
億円
GIC シンガポール
3 2023年
1月31日
DHC 日本 3,000.0
億円
オリックス 日本
4 2023年
2月10日
ジャパンディスプレイ 日本 2,602.4
億円
いちごトラスト 日本
5 2023年
3月22日
パークウィンド ベルギー 2,211.1
億円
JERA 日本
6 2023年
3月27日
Vietnam Prosperity Joint Stock Commercial Bank(VPバンク) ベトナム 1,995.6
億円
三井住友銀行 日本
7 2023年
2月1日
SBCメディカルグループHD 日本 1,561.1
億円
PONO CAPITAL TWO 米国
8 2023年
3月27日
SCM・ミネラ・ルミナ・カッパー・チリ(MLCC) チリ 1,241.6
億円
ランディンマイニング カナダ
9 2023年
3月30日
日立アステモ 日本 1,120.9
億円
日立アステモ 日本
10 2023年
2月21日
エルクバレーリソーシズ カナダ 1,022.9
億円
日本製鉄 日本

出典:Refinitiv(リフィニティブ)

(注)公表案件ベースのリーグテーブル・ランキングは、リフィニティブが認識している2023年1月1日から2023年3月31日の期間に公表された案件を対象としており、今期および昨年の全てのデータは、日本時間2022年4月3日午前10時に抽出したものである。ランキングにおける取引金額はすべて日本円で表示され、不動産案件は除外している。
リーグテーブル対象となるのは、合併、買収、市場を介さない自己株式取得、スピンオフ、公開買付による自社株買い、少数株主持ち分(50%以下)の株式取得、及びデット・リストラクチャリング案件である。公開買付・合併案件は、その案件が完了した日付をもって有効と見なす。
取引金額のついてない場合も対象案件となり、その場合取引金額は表示されない。

本記事は、Refinitiv(リフィニティブ)「日本M&Aレビュー」より許可をいただいて一部掲載しています。

NEXT STORY

2022年の世界M&A、メガディールが減少 来年はPEが鍵握る

ロイター・ニュース・アンド・メディア・ジャパン
| 2022/12/26
2022.12.26

アクセスランキング

【総合】よく読まれている記事ベスト5