ロンドン証券取引所グループ (London Stock Exchange Group, “LSEG”) 傘下のリフィニティブ(Refinitiv)は、日本の2022年(1月1日~12月19日*)のM&A速報値を発表した。
日本企業が関与したM&Aは、速報値ベースで、今年に入ってから14.8兆円に達し、2021年比24.7%減となり、2014年(11.1兆円)以来の低水準となった。
日本企業が関与するセクターでは、「工業」が金額ベースで最も多く、市場シェアの21.9%を占め、取引額は3.2兆円、前年比28.2%増となった。
発表件数が最も多かった「ハイテク」は20.4%、3.0兆円(前年比41.4%減)となっている。ヘルスケアは13.3%のシェアで上位3位を占め、取引額は2.0兆円と前年比2倍以上となった。これは、武田薬品がニンバス・セラピューティクスLLCからボストンのバイオ医薬品メーカーであるニンバス・ラクシュミ・インクの全株式を8259億6000万円(60億米ドル)で取得することが決定したことによる。
●2022年日本M&A ターゲットセクター(資産買収を除く)、2022/1/1-12/19
内訳 | 市場シェア | 取引総額 | 前年同期比(円換算) | 件数 |
工業(Industrials) | 21.9% |
3.2兆円 |
28.2% |
569件 |
ハイテク(High Technology) | 20.4% |
3兆円 |
▲41.4% |
1270件 |
ヘルスケア(Healthcare) | 13.3% |
2兆円 |
162.4% |
280件 |
日本のアウトバウンド(In-Out)買収額は4.2兆円(前年同期比43.3%減)で、3.4兆円だった2010年以来の低水準となった。一方で、日本のインバウンド(Out-In)買収額は2.5兆円で、前年比17.1%増、2017年(3.1兆円)以来の高水準となった。
・2022年上半期日本M&A 国内・外取引(資産買収を除く)、2022/1/1-12/19
内訳 | 買収額 | 前年同期比(円換算) | 件数 |
日本企業が関与したM&A(ALL) | 14.8兆円 |
▲24.7% |
4293件 |
アウトバウンド(In-Out) | 4.2兆円 |
▲43.3% |
690件 |
インバウンド(Out-in) | 2.5兆円 |
17.1% |
163件 |
国内企業同士(In-In) | 6兆円 |
▲16.5% |
3261件 |
アウトバウンド(In-Out)買収;日本企業が海外企業を買収
インバウンド(Out-In)買収;海外企業が日本企業を買収
リフィニティブ エレーン・タン(シニア・アナリスト)/編集:M&A Online編集部
*データの抽出は日本時間2022年12月19日時点の速報ベースです。
8月8日、リフィニティブが集計した2022年7月のM&A(企業の買収・合併)実行額は、世界で前年比60.2%減の2118億6150万ドルとなった。
飲食業界はコロナ禍で、大打撃を受けており、M&Aによって事業を拡大する機運が萎んだようだ。