ご注意ください
この記事は公開から1年以上経っています。掲載されている情報は、公開当時のものです。

決算書のここを見ればできる!マルチプル法による企業価値算定 しっかり学ぶM&A基礎講座(65)

alt

EBITDA倍率(時価総額÷EBITDA)を算定する

次に、各社のEBITDAと下記の表に記載した時価総額からEBITDA倍率(時価総額÷EBITDA)を計算します。類似A社は3.84倍(=50,000÷13,000)、類似B社は6.15倍(=48,000÷7,800)類似C社は4.54倍(=25,000÷5,500)となります。

3社のEBITDA倍率の平均は4.84倍と計算されます。そして、これを用いて対象企業X社の株主価値(時価総額に相当)を算定してみることにしましょう。

株主価値はEBITDAの4.84倍ということですので、対象企業X社のEBITDAである230に4.84倍を乗じて1,113という算定結果が得られます。つまり、X社の買収金額を検討する際にはこの1,113という評価額を一つの拠りどころにすることができます。

EBITDA以外の指標も使用される

このように比較的限られた情報で株主価値を算定できるのがマルチプル法の魅力です。マルチプル法では、EBITDAだけでなく、他の指標を用いて株主価値を算定することも可能です。例えば、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)がそれにあたります。

PERは「株価÷1株当たり利益」、PBRは「株価÷1株当たり純資産」という算式で求められますので、いずれも簡便的に株主価値を把握するのに適しています。ターゲット企業の価値を機動的に知りたいときには重宝する方法といえるでしょう。

文:北川ワタル(公認会計士・税理士)

北川 ワタル

経歴:2001年、公認会計士2次試験合格後、監査法人トーマツ(現有限責任監査法人トーマツ)、太陽監査法人(現太陽有限責任監査法人)にて金融商品取引法監査、会社法監査に従事。上場企業の監査の他、リファーラル業務、IFRSアドバイザリー、IPO(株式公開)支援、学校法人監査、デューデリジェンス、金融機関監査等を経験。マネージャー及び主査として各フィールドワークを指揮するとともに、顧客セミナー、内部研修等の講師 、ニュースレター、書籍等の執筆にも従事した。2012年、株式会社ダーチャコンセプトを設立し独立。2013年、経営革新等支援機関認定、税理士登録。スタートアップの支援からグループ会社の連結納税、国際税務アドバイザリーまで財務会計・税務を中心とした幅広いサービスを提供。

学歴:武蔵野美術大学造形学部通信教育課程中退、同志社大学法学部政治学科中退、大阪府立天王寺高等学校卒業(高44期)

出版物:『重要項目ピックアップ 固定資産の会計・税務完全ガイド』税務経理協会(分担執筆)、『図解 最新 税金のしくみと手続きがわかる事典』三修社(監修)、『最新 アパート・マンション・民泊 経営をめぐる法律と税務』三修社(監修)など

北川ワタル事務所・株式会社ダーチャコンセプトのウェブサイトはこちら


NEXT STORY

M&Aの評価で出てくる「マルチプル」って何?

M&Aの評価で出てくる「マルチプル」って何?

2018/12/26

投資判断の場面でも、価格決定の場面でも、M&Aにおいて企業価値評価は重要です。企業価値を算定する場合に実務でよく使われる評価方法の一つに「マルチプル法(Multiple methods)」があります。