政府は現在、12月17日までの「我慢の3週間」を訴えている。クリスマスから正月三が日明けまでの約10日間は経済活動が年間で最も低調になる。恒例の「休眠期間」まで持ちこたえれば、感染拡大がピークを超えるという「自然減」に期待しているのだ。
米ファイザーや米モデルナ、英アストラゼネカなどが開発中のコロナワクチンに高い有効性が認められ、早ければ12月にも保健当局の承認が受けられそうだ。
ワクチンが広く一般に行き渡るのは最速でも2021年春以降と見られているが、これまでのような「手の打ちようがない感染症」ではなくなる。国民の安心感も高まり、緊急事態宣言を出さないことで非難を受ける可能性が低くなってきた。
緊急事態宣言で取り沙汰される「ロックダウン(都市封鎖)」だが、その実効性に疑問がもたれている。春の第1波で日本よりも厳しいロックダウンを断行した欧州やインドなどでは、第2波や第3波で一度は収まったコロナ感染が再燃している。
実は1918〜1920年にかけてパンデミック(世界的大流行)を引き起こしたスペイン・インフルエンザ(スペイン風邪)の疫学調査でも、ロックダウンをした都市としなかった都市で感染者数や死者数に有意な差がなかったことが分かっている。
ロックダウン中の感染者は減るが、解除後は急増するため、感染拡大期間全体で見ると同じ結果になるということだ。コロナ禍でもスペイン・インフルエンザと同様の動きとなっており、政府がロックダウンを含む厳しい緊急事態宣言を出すことを躊躇させる状況になっている。