新型コロナウイルスの影響が企業の設備投資に影を落とし始めた。先行き見通し難を理由に設備投資を計画する企業が減少する中、生産性の向上やテレワーク導入に関する投資が目立ってきた。

企業が製造能力の増強を抑え、省力化や効率化などに資金を振り向けようとしているわけで、ポストコロナ時代にはオフィスはもちろん、工場などの現場にも大きな変化が訪れそうだ。

企業の設備投資マインドは変わるか 

帝国データバンクが2020年5月19日に発表した設備投資調査(実施期間2020年4月16日-30日、対象企業数2万3672社=回答率50.5%)で、こうした実態が浮かび上がってきた。

それによると、設備投資計画がある(「すでに実施した」「予定している」「実施を検討中」の合計)企業は52.8%で、前回調査(2019 年 4 月)から 9.5 ポイント減少した。「すでに実施した」が 6.3%、「予定している」が 27.4%、「実施を検討中」が 19.1%となり、「予定している」とする企業の減少幅が大きかった。

同社ニュースリリースより

予定している設備投資の内容については「設備の代替」が前回の45.5%から40.4%に、「既存設備の維持・補修」が同33.3%から31.5%に減少したのに対し、「情報化(IT 化)関連」は28.6%から31.2%に増加しており、テレワークなどに必要な機器やシステムへの投資意欲がうかがわれる。

帝国データバンクによると「テレワークを実施するなかで、働き方改革への発展など、業務の効率化を目指す(電気機械器具卸売、東京都)や、テレワークの必要性に迫られ、時間をかけて行う予定であったサーバーの入れ替えや PC 関連などの設備投資を前倒しで実施した(税理士事務所、福岡県)といった、テレワークに関する意見が多く聞かれた」という。

一方、設備投資を予定していない企業は 38.0%で、前回調査により8.4 ポイント増加した。設備投資を行わない理由は「先行きが見通せない」( 64.4%)がトップで、次いで、「現状で設備は適正水準である」(25.3%)、「投資に見合う収益を確保できない」(20.1%)と続いた。

帝国データバンクによると「新型コロナウイルスの影響で収益性が大きく棄損しており、今は設備投資を控えざるを得ない(金型部品製造、兵庫県)のように、新型コロナウイルスによる経済の停滞が設備投資の動向に影響を及ぼしているという声が多くあげられている」としている。

政府は2020年度税制改正大綱で、大企業を対象とした設備投資の促進策を講じるほか、中小企業には新型コロナウイルスの対策補助事業として設備投資支援などを進めている。

これらの施策によって企業の設備投資マインドを変えることはできるだろうか。

文:M&A Online編集部