政府は新型コロナウイルスの緊急経済対策としてまとめた2020年度補正予算(4月30日成立)に、中小企業の事業承継支援策を盛り込んだ。総額100億円を投入し、新たな補助金制度や全国ファンドの創設などを推進する。

事業承継支援策は「経営資源引継ぎ・事業再編支援事業」として束ねられた。1.経営資源引継ぎ補助金 2.事業引継ぎ支援センターの体制強化 3.中小企業経営力強化支援ファンドの3本柱で構成している。

1.経営資源引継ぎ補助金
経営資源引継ぎ補助金は、第三者承継時にかかる専門家への仲介定数料やデューデリジェンス(企業の資産価値評価)費用などのほか、既存事業を譲渡する際の廃業費用も対象とする。

補助上限額は売り手が650万円、買い手が200万円で、補助率はいずれも3分の2。

2.事業引継ぎ支援センターの体制強化
中小企業庁が47都道府県に設置している事業引継ぎ支援センターの体制強化では「プッシュ型」の第三者承継支援を展開する。

新型コロナ感染を避けるため相談に訪れるのが困難な事業者や、第三者承継に関心がある人のもとに出向き、承継ニーズの掘り起こしを徹底。事業再編を促して各地のサプライチェーン(供給網)の維持に努める。

3.中小企業経営力強化支援ファンド
中小企業経営力強化支援ファンドは官民が出資し合い、地域の核となる事業者を再生と第三者承継の両面で支援。事業引継ぎ支援センターとも連携し、M&Aも視野に入れながらその後の成長を全面的に後押しする。

東京商工リサーチによると、中小企業の後継者不在率(2019年)は55.6%と全体の半数を超える。

新型コロナ拡大で将来の需要回復が不透明な状況は、後継者問題をさらに深刻化させかねず、2019年に4万3348件(東京商工リサーチ調べ)だった休廃業・解散件数の増加を招くことも懸念される。

今回の支援策をめぐり、国は「新型コロナの影響下で仮に廃業を選択せざるを得なくなった場合でも、貴重な経営資源や雇用・技術の確実な承継を図る」としている。

関連リンク 経済産業省関係令和2年度補正予算事業概要https://www.meti.go.jp/main/yosan/yosan_fy2020/hosei/pdf/hosei_yosan_pr.pdf

文:M&A Online編集部