相続の勘違い!
財産の内容が複雑ではないので相続でもめることなど絶対ありえない

正しい考え方は!
一般的な土地や不動産でももめる要素はある


税理士・小林先生の見解

 なぜ、相続において親族間でトラブルが発生しやすいのか? 最大の要因は、「財産にはさまざまな種類がある」という点にある。

 もし、相続財産が現金だけで、株や土地などがなければ、もめるリスクは少ない。遺留分などを考慮しながら、しかるべき額を分配するだけで済むからだ。証券株は、現金に近いが株主優待などの内容が異なり、どちらの株がよいかでもめたりする。そんなささいなことで……と思うかもしれないが、相続のトラブルはささいなことからはじまり、拡大していくのがパターンだ。

 土地になるとさらに話が複雑になる。これは極端な例だが、相続評価額で「都心の1億円の土地」と「田舎の1億円の土地」があれば、みんな、都心の土地を欲しがる。
土地の相続評価額は、公示価格の80%を基準にしたものであり、イコール、時価ではない。土地や不動産の価値は買い手あってのものであることは、誰だって知っている。いくら、1億円の相続評価額が付いていても、買い手の見つけにくい田舎の土地に本当にそこまでの価値があるのかは疑わしい。

 一方、都心の相続評価額1億円の土地は、立地がよければ、時価が数倍ということもある。さらに今後、値上がりの期待もあるだろうし、アパートやマンションによる運用もしやすい。
このような相続人の心理に配慮した上で、相続の経験豊かな専門家に相談するのが最良の相続準備である。


相続の勘違い!
債務は、事業を承継する長男に引き継がせればよい

正しい考え方は!
返済が滞れば、取得財産ゼロの相続人にも返済義務

税理士・小林先生の見解

 遺留分に従って、財産を相続するという考え方がある一方で、事業を引き継ぐ長男に財産の大半を相続させたいという考えを持っているオーナー経営者もいるだろう。この場合、債務も含めて、事業を引き継ぐ者が相続するケースは多い。他の相続人は、財産を相続しない代わりに、債務にも関与しないという考え方である。

 だが、もし、相続後、事業がうまくいかなくなり、債務の返済が滞れば、相続をしていなかったはずの相続人にも、返済の義務が発生することもある。
相続時に「取得財産ゼロ」の遺産分割協議書に判を押したから、相続を放棄したと思い込んでいる相続人は多いが、あくまでも取得財産ゼロを認めたというだけの話であり、相続放棄をしたことにはならない。

 相続放棄をするには、相続発生から3ヵ月以内に家庭裁判所で相続放棄のしかるべき手続きを取らないといけない。これを放置してしまえば、返済が滞った際に取得財産ゼロの相続人に対して金融機関から連帯保証の要請があるなど、返済の義務が発生してしまう。

 これは意外と多いケースなので注意したい。特に相続を長男に集中させたい場合は、事前にほかの相続人に「相続放棄」について理解させておいたり、万が一の際にしかるべきサポートをするよう顧問税理士に相談しておいたりするのが得策だ。

相続の勘違い!
きちんとした遺言書を作成しておけばもめない

正しい考え方は!
公正証書遺言にするべき自筆は家庭裁判所の検認を

税理士・小林先生の見解

 相続の専門書などで遺言書は「公正証書」または「法的拘束力のある体裁に準じた自筆」のいずれかを選択するべきと解説されていることが多いが、「公正証書による遺言書」が望ましい。公正証書遺言とは、公証役場で公証人に作成してもらう遺言書のことである。
遺言者が公証人に対して伝えた遺言内容を基に作成されていく。公証人は、法律の専門家を経験してきた方々であり、助言を受けながら作成することで法的に効力のある遺言書となる。

 一方、自筆の遺言書は、①主観的な内容になりやすい、②法的に見て不備が出やすい、③新たな遺言書が見つかれば無効になる(家庭裁判所で検認を受けていない場合)といったデメリットがある。こういった不確実さを考えると、公正証書遺言の方が安心できる。

 その一方で、公正証書遺言であったとしても、民法で定めた相続人の権利である遺留分と遺言内容がぶつかった場合、遺言の一部を否定されるため注意が必要だ。
公正証書遺言では、相続人に想いが伝わらないのでは? という方は、相続に触れない文面でエンディングノートを作成するなどしておけば良い。

 どうしても、自筆にこだわりたいという方は、家庭裁判所での検認は済ませるべきである。検認済みの遺言書は、家庭裁判所で開封することが義務づけられるため、偽造や変造を防止することに役立つ。

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