その後、彼はさらに重要なポストを担う。サンタヘルマンダートといわれる組織の統括である。これはいわば治安維持組織だ。警察力を持っていた。サンタンゲルはこのサンタヘルマンダートの財務総監にも任命されている。彼のこの地位と役割が、のちにコロンブスのファンドレイズ(資金調達)を実現させる大きな原動力となる。
サンタンゲルが果たした役割とその資金調達スキーム。これについて具体的に掘り下げる前に、コロンブスの航海案がスペイン王国の諮問会議に稟申されるまでの背景と流れを少し整理しておこう。
15世紀中盤の時点で、西洋の知識人の間では「地球が丸い」ことはおおよそ共通認識になっていた。この認識に基づいて、大西洋を西回りに進めばインドに到達できると提唱したのはフィレンツェの天文学者トスカネリとされる。
1474年にトスカネリとコロンブスは、手紙を通じて西回り航路の可能性を議論したと伝わる(真偽は諸説あり)。1492年6月、コロンブスの航海の直前にはマルティンべーハイムが世界最初の地球儀を完成させた。
コロンブスは「西回り理論」を開発した研究者ではなく、実践した起業家だ。現代風に言えば、大学の研究開発成果をビジネスにつなげる、「大学発スタートアップ」の起業家といったイメージに近いだろうか。
IGNiTE CAPITAL PARTNERS株式会社 (イグナイトキャピタルパートナーズ株式会社)代表取締役/パートナー
投資ファンド運営会社において、不動産投資ファンド運営業務等を経て、GMDコーポレートファイナンス(現KPMG FAS)に参画。 M&Aアドバイザリー業務に従事。その後、JAFCO事業投資本部にて、マネジメントバイアウト(MBO)投資業務に従事。投資案件発掘活動、買収・売却や、投資先の株式公開支援に携わる。そののち、IBMビジネスコンサルティングサービス(IBCS 現在IBMに統合)に参画し、事業ポートフォリオ戦略立案、ベンチャー設立支援等、コーポレートファイナンス領域を中心にプロジェクトに参画。2013年にIGNiTE設立。ファイナンシャルアドバイザリー業務に加え、自己資金によるベンチャー投資を推進。
横浜国立大学経済学部国際経済学科卒業(マクロ経済政策、国際経済論)
公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員 CMA®、日本ファイナンス学会会員
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