存在感を高めるKKR、日立工機、日立国際電気を相次ぎ傘下に

KKRは今、日本で最も存在感を高めている投資ファンドの一つだ。昨年はカルソニックにとどまらず、電動工具大手の日立工機(現工機ホールディングス)、無線通信機器や放送・映像機器を手がける日立国際電気をTOBなどで買収し、1年で上場企業3社を相次いで傘下に置いた(いずれも上場廃止)。その「出口(エグジット)」戦略として今後、再上場も有力な選択肢となるだけに、その成り行きが注目される。

KKRは1976年に米国で誕生し、ニューヨークに本拠を置く。運用資産総額は10数兆円とされる。日本には2006年に進出し、KKRジャパンを設立。初の投資案件として2010年に人材派遣大手のインテリジェンスを約325億円で買収した。2013年に同業大手のテンプホールディングス(現パーソルホールディングス)に680億円で売却した。

2014年にパナソニックのヘルスケア事業を約1650億円、2015年にはパイオニアからDJ(ディスクジョッキー)機器事業を約590億円で買収したが、いずれも投資を継続中。

今年9月半ば、経営再建中のパイオニアは香港に拠点を置く投資ファンドのベアリング・プライベート・エクイティ・アジアから経営支援を受け入れ、総額500億~600億円を調達することを発表したが、スポンサー企業候補として一時、カルソニックカンセイの名前が取りざたされた。これも、カルソニックがKKR銘柄であったことが関係したとみられる。

日本とイタリアをまたぐ今回の大型M&Aで改めて存在感を見せつけたKKRの動向については要ウオッチといえそうだ。

2018年:買収金額1000億円超の案件(公表ベース)
15月  武田薬品、アイルランド製薬大手シャイアーを子会社化(6.8兆円)
210月   カルソニックカンセイ、伊の車部品大手マニエッティ・マレリを買収(8060億円)
39月  ルネサスエレクトロニクス、米半導体のIDTを子会社化(7330億円)
41月  富士フイルムHD、米事務機大手のゼロックスを子会社化(6710億円)
57月  大陽日酸、米産業ガス大手、プラスエアの欧州事業を買収(6438億円)
63月  JT、ロシアのたばこ4位ドンスコイを子会社化(1900億円)
78月  JT、バングラデシュの2位のたばこ事業を買収(1645億円)
81月  第一生命HD、米リバティライフの既存保険契約を買収(1400億円)
95月  リクルートHD、求人情報サービスの米グラスドアを子会社化(1285億円)
103月 東レ、オランダの炭素繊維メーカーのテンカーテを子会社化(1230億円)
124月 伊藤忠商事、ユニー・ファミマHDをTOBで子会社化(1200億円)
134月 日本電産、冷蔵庫部品メーカーの米エンブラコを子会社化(1175億円)

文:M&A Online編集部