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経営上の意思決定についての手法 - 意思決定の難しさ

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2.経営者の意思決定

「人生は選択の連続である」とかつてシェイクスピアが行ったように、我々は必ず何か選択をしながら日々生きていますが、それも小さな意思決定の積み重ねと言えます。日常生活に必要不可欠な意思決定もあれば、企業においては、売上を増やす、コストを下げる、生産効率を上げる等、業績の向上、財務体質の改善等、企業をより良くするために、様々な意思決定を行っています。

意思決定の手法として、昔からよく教科書に出てくるのは、PDCAサイクルです。これは、P:Plan(計画)、D:Do(実行)、C:Check(評価)、A:Action(改善)のイニシャルを拾ったものですが、「サイクル」という言葉が付くように、一連の業務フローがある中で、計画したものが実行され、それを評価して課題を抽出し、改善のアクションをまた計画してそれを実行することを繰り返すのであり、基本的にはルーチンワークが前提と言えます。その意味で、すでに会社の業務として確立しているものであり、そこから革新的な何かが出てくる可能性は薄いでしょう。

経営者は、現在行われていることをきちんと執行するのも大事ですが、より重要なのは、将来のビジネスの基礎を作ることだと言えます。未来永劫何十年も同じ事業で成り立っている会社がゼロとは言いませんが、多くの長寿企業では、時代によって何十年周期で中核事業を変えながら継続している老舗がほとんどであり、必ず新たな中核事業を作り出し、育ててきた経営者がいます。

そのような意思決定こそ、経営者として真に求められる意思決定と言えます。それは過去の延長線上にあるものではなく、予測不能な中でも将来を見据えて、時代に必要とされるものを見つけ、あるいは作り出す必要がある、高度な意思決定です。このような意思決定に役立つ手法として最近注目されているのが、「OODAループ」と言われるメソッドです。

PDCAが工場で生まれたのに対して、OODAは軍事の世界から生まれました。戦場は常に敵との遭遇するリスクに晒されながら、刻々と変化する状況の中で、生き残るための最適な判断をしなければなりません。OODAは、O:Observe(観察)、O:Orient(状況判断、方向づけ)、D:Decide(決断)、A:Act (行動)、のイニシャルを取ったものです。

PDCAはプロセスが重視されるので、ある程度長期、変化の少ない状況で有効な手法に対して、OODAは変化が激しく、すぐに対応しなければならない機動性が要求される状況で有効な手法という意味で、変化が激しく1年後すら将来の予測が難しい現代に当てはまりそうな手法と言えます。

もう1つ注目されているメソッドとして、「QPMIサイクル」と言われているものがあります。これは、Q:Question(クエスチョン)、P:Passion(パッション)、M:Mission(ミッション)、I:Innovation(イノベーション)、のイニシャルです。最近はソーシャルビジネスが盛んですが、これはまさに、社会問題に疑問を持ち、その解決に情熱を持つ人が、それを自らの使命として、今までにないようなアイデアや技術で改革やソリューションを創出するビジネスモデルのサイクルと言えます。

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