財務経理の業務改善の進め方
生産性向上が求められるのは製造・生産の現場だけでなく、財務経理の業務についても同様です。言葉を変えれば業務改善ですが、今回は財務経理業務の改善について考えてみたいと思います。
収益(すなわち売上)が変わるということは、管理会計にも影響を及ぼします。会社にとって売上は最も重要な指標といっても過言ではありません。投資家サイドではROEなど事業効率を見る指標が重要視されますが、社内管理では売上に紐づく管理指標が多く使われています。当然、社内管理の指標にも売上は頻繁に用いられています。
例えば売上を基準に営業担当者の賞与が決められている場合、値引やリベートをどう取り扱うかによって賞与額が変わります。私の知っている事例(米国基準)では、ハードウェアとソフトウェアのセット販売を複合取引として両者に価格配分することになり、取り分争いの社内綱引きに膨大な時間が浪費されてしまいました。
新基準通りの会計処理は必要ですが、それが管理会計にどう影響するのか見極めないといけません。もちろん予算管理や業績予想などにも影響が出てくる可能性があります。
税務も頭の痛い問題です。財務会計でどのタイミング(認識)でいくら(測定)収益を計上しようが、税務上で同じ判断になるとは限りません。両者で判断が異なる場合は税務調整に必要なデータを別途把握する必要があります。特に複合取引で両者の判断が分かれると複雑な事務処理になる可能性が高くなります。
法人税だけでなく消費税も課題となることがあります。値引やリベートを売上控除しても消費税は控除前の総額で発生するでしょうし、財務会計上は代理人取引となっても消費税は純額ではなく総額ベースで発生します。消費税の適正計上と収益新基準対応を今の会計システムで両立できるのか考えていく必要が出てくるでしょう。
こうした対応のために、システムに手を入れなければならない可能性もあります。
複合取引での価格配分のシステム化が必要なこともあるでしょう。出荷日が売上のトリガーとなっているシステムでは、履行義務を果たすタイミングも別途把握が必要になってきます。しかし単純に切り替えればよいという話ではなく、社内管理や税務調整のために従来のデータも必要だったりしますので、システムに必要な要件をきちんと見極めないといけません。
新基準が余裕を持った適用時期(2021年4月1日以降)になっているのは、こうした課題対応に時間がかかるためです。まだ3年もあると悠長に構えていると直前に大慌てします。少しずつでも対応方法を考えていったほうが良いでしょう。
ビズサプリグループでは様々な会計上の課題について対応支援を行っています。
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文:株式会社ビズサプリ メルマガバックナンバー(vol.073 2018.05.09)より転載
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