最近、いくつかの会社のコンサルティング業務をしているときに、配賦計算をどの程度すべきかということで議論になることがありました。配賦計算のメリット、デメリットは次の通りかと思います。
<メリット>
・各事業、部門にコストを負担させることができる
・コストを負担させたうえで、各事業部、部門に求める利益の額が明確化できる
<デメリット>
・配賦計算の手間、煩雑さがふえる
・基準をどこまで精緻にしたところで恣意性がはいる
・実際発生額を配賦する場合は、間接費の発生部門等でコスト意識が低下し非効率
性が発生する恐れがある
原価計算基準やセグメント会計基準、固定資産の減損会計等の財務会計において、間接費の配賦は一般的な考え方です。また、従来の経理業務のおいては集計を精緻に正確に行うことが重要視されてきたために、財務会計をしてきた経理部員の中には配賦計算をすることについて強いこだわりをもっている人も多いと思います。
ただ、管理会計において、有用なのでしょうか?
もちろん、全社でかかっているコストを各事業に配賦することで上記のとおり稼ぐべき利益の額が明確化はされるものの、デメリットのほうが大きい気がします。
配賦のデメリットである煩雑さは経理部に負担をかけるとともに、現場の各事業担当者にとっては、通常管理不能費であるとともに、多段階配賦をした場合コストの中身が見えづらくなる問題のほうがはるかに大きいと考えます。
特に配賦額について、発生した科目と同じ科目で振り替えている会社が多いですが、その場合、同じ科目内に直接費と間接費が混在し、コスト構造が見えづらくなり管理ができなくなります。
もはや、本来コスト管理を精緻にしようとしたにも関わらず、間接費がどれくらい発生しているかすらよくわからなくなっている場合も見られます。
「とりあえず、何でも配賦」とするのではなくて、一度、立ち止まってその配賦計算は管理上必要があるのか考えてみるべきではないでしょうか。もし、財務会計上必要であれば、組替えで対応をすれば済むことになります。
ビズサプリグループでは、決算や法定開示書類の作成といった財務会計のコンサルティング業務のみならず、各業種における管理会計の見直しや、システム更新の際の要件定義のサポートも行っておりますので、何かありましたらご相談ください。
本日も【ビズサプリ通信】をお読みいただき、ありがとうございました。
文:泉 光一郎(公認会計士・税理士)
ビズサプリグループ メルマガバックナンバー(vol.086 2018.12.5)より転載
近年、海外では「金融機関」がCVCを設立するという動きが見られている。金融機関がCVCを設立することの意味は何なのか。日本の金融機関の動向にも触れながら解説したい。