「硬貨預け入れ有料化」で、キャッシュレス化は加速するか?

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硬貨が「お荷物」になれば、キャッシュレス化は進む(写真はイメージ)

預入手数料と決済手数料の間で悩む中小零細事業者

「裏技」として、海外で使いきれなかった外国の紙幣や硬貨を日本円のPASMOや楽天Edyといった電子マネーやアマゾンのギフトカードなどに交換できる自動両替機「ポケットチェンジ」を利用する方法があった。実は日本の硬貨を投入した場合、手数料無料で交換が可能なのだ。

ところが硬貨預け入れの有料化を受けて、「ポケットチェンジ」に日本円硬貨が大量投入される事態に。1月27日にシステム障害が発生し、2月9日までのサービス停止を余儀なくされている。サービス再開後は日本円硬貨の取り扱いに制限がかかる見通しだ。

日本円硬貨が大量に持ち込まれて障害が発生した「ポケットチェンジ」(同社ホームページより)

そうなると店舗側は電子マネーかQRコード(二次元バーコード)決済といったキャッシュレス化に対応するしかない。キャッシュレス化でも決済手数料を取られるため、中小零細事業者から敬遠されてきたが、現金取引で硬貨を金融機関へ持参する手間と預入手数料を考えると、キャッシュレス化を選択する店舗が増えるのは間違いなさそうだ。

2021年10月にキャッシュレス決済大手のPayPayが有料化へ移行し、中小零細店舗での解約が相次いだのは記憶に新しい。キャッシュレス決済事業者にとっては、硬貨預け入れ有料化は加盟店増加のまたとない「追い風」となるだろう。とはいえ、PayPayで1.60〜1.98%という決済手数料では利益が出ないという中小零細事業者も少なくない。加盟店が増加すれば決済手数料を引き下げるなど、キャッスレス決済事業者側の努力も必要だ。

文:M&A Online編集部

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