「現金お断り」の店舗が当たり前の時代が来るかもしれない。金融機関が手間のかかる硬貨預け入れの有料化に踏み切ったからだ。一般消費者にとってはコイン貯金の口座入金に困るぐらいだが、小銭を多く取り扱う小売店や飲食・サービス業が受ける影響は深刻だ。
「何もこんな時期に有料化しなくても」と、利用店から恨み節が聞こえてきそうだ。スマートフォンなどによるQRコード決済最大手のPayPay(ペイペイ)が、2021年10月から加盟店が支払う決済手数料をこれまでの無料から全面有料化に切り替える。
急成長を続けてきたQR・バーコード決済サービスに「曲がり角」の兆しが見えてきた。これまで増え続けてきた加盟店に、脱退の動きが広がっているのだ。巨額のキャンペーンコストをかけて市場を育ててきたスマホ決済だが、刈り取り直前の失速も懸念される。
経産省は、昨年10月に始まったキャッシュレス決済のポイント還元事業に関する最近の状況について公表した。1月11日時点の登録加盟店数は約95万店で、都道府県別に人口当たりの加盟店数をみると、石川、東京、京都、福井、鳥取の順だった。
PayPayの100億円あげちゃうキャンペーンがわずか10日で終了した。同様のスマートホンを用いたQRコード決済サービスを展開する楽天やLINEにとっては、嵐が過ぎ去ったようなものだろうが、戦いはこれで終わりではない。