ファストリーのトラブルで注目される「黒子サービス」CDNとは

alt

クラウドに必須のサービスだが、リスク管理も重要

インターネットの回線速度は、サーバーの数だけでは決まらない。より近くのサーバーにアクセスする方が、高速化するという。ほぼ高速に近い光や電気による通信の場合、地球上であれば物理的な伝達速度は距離に大きく左右されることはない。

問題となるのは「HOP数」。HOP数とはデータがコンテンツ配信サーバーから利用者の端末へ到達するまでに通過するルーター(中継器)数のこと。インターネットを「データのバケツリレー」と考えれば、リレーするバケツの数が少なければ少ないほど早く運べるという理屈だ。

一般に距離が近ければ近いほど、HOP数は少ない傾向にある。だからファストリーは、世界中にキャッシュサーバーを置いて、ウェブサイトのコンテンツ配信を高速化しているのだ。

ウェブサービスでは、自前でなるべくサーバーを持たないクラウド化が主流になっている。キャッシュサーバーもクラウドが主流になっており、CDNサービスは成長が続く見通しだ。米調査会社リポート・オーシャンによると2020年に134億ドル(1兆4600億円)だったCDNサービス市場が、2027年には365億ドル(約4兆円)に拡大すると予測している。

クラウドだけに、安定運用もCDN事業者に任せるしかない。ファストリーによると、今回のトラブルはソフトウエア内に潜んでいた未発見のバグが原因だったという。だから1時間程度の障害で済んだようだ。

だが、わずか1時間程度の障害でもネット通販などで損害額が1500億円を超えたとの指摘もある。キャッシュサーバーの容量を超える大規模アクセスや、サーバーに対して過剰なアクセスやデータを送付するDDoS攻撃(分散型サービス拒否攻撃)などで障害が長時間に及べば、深刻な問題になるだろう。

楽天市場はファストリーの障害直後に他社のCDNサービスに切り替えて、短時間のうちに復旧した。バックアップとなるCDNサービスを準備しておき、「万一」に備える対応がウェブサイト運営者に求められている。

文:M&A Online編集部

M&A Online編集部

M&Aをもっと身近に。

これが、M&A(企業の合併・買収)とM&Aにまつわる身近な情報をM&Aの専門家だけでなく、広く一般の方々にも提供するメディア、M&A Onlineのメッセージです。私たちに大切なことは、M&Aに対する正しい知識と判断基準を持つことだと考えています。M&A Onlineは、広くM&Aの情報を収集・発信しながら、日本の産業がM&Aによって力強さを増していく姿を、読者の皆様と一緒にしっかりと見届けていきたいと考えています。


NEXT STORY

【GMOインターネット】オーガニックとM&Aグロースで一大グループ企業へ

【GMOインターネット】オーガニックとM&Aグロースで一大グループ企業へ

2016/04/18

数々のM&Aを実行し、日本を代表する総合インターネットグループへと急成長したGMOインターネットグループ。同社グループのM&Aに対するスタンスを紹介する。