東京23区で一番広いのは羽田空港を抱え、中小製造業の集積などで知られる大田区。これに世田谷区、足立区が続く。では反対に最も狭いのはどこだろうか。ビジネス街を抱える千代田区、中央区をつい思い浮かべてしまうが、ノー。僅差ながら、正解は台東区。
台東区の広さは10.11㎢。大田区(60.83㎢)と比べると、ちょうど6分の1。面積こそ最小でも、23区の中で別格の存在感を放つのが台東区にほかならない。
江戸時代から昭和初期にかけて日本一を誇った繁華街といえば、浅草。芸能と庶民文化の一大中心地として栄えた。日本初の地下鉄が上野~浅草間(2.2㎞)を結んで開通したのは1927(昭和2)年。戦後、新宿や渋谷に押され、停滞期を経験したが、今日、東京を代表する観光地として復活を遂げた。
上野の山は日本最初の都市公園(上野公園)に指定され、美術館、博物館、動物園、美術学校、音楽学校などが次々に誕生し、「芸術・文化の杜」の様相を呈した。上野公園に隣接する谷中は寺町としての風情が今も残る。
三社祭、ほおずき市、隅田川花火大会、早慶レガッタなど、四季の風物や祭り、イベントも多彩だ。浅草を訪ねると、タワーとして高さ世界一を誇る東京スカイツリー(634m、2012年開業)が眼前に迫るが、こちらは隅田川をはさんだ対岸の墨田区にある。
台東区は1947(昭和22)年に東京23区制がスタートするのに伴い、下谷区と浅草区が合併して発足した。東京は1878(明治11)年に15区が置かれ、昭和の初めに隣接する郡を取り込み35区制に移行したが、下谷区と浅草区はいずれも15区時代からのメンバー。
区の名前の「台」は上野の高台を、「東」は上野台の東に位置する浅草を表す。また、「台東」はそれぞれの文字の意味から、めでたい、気品、若さといったことを象徴する名という。読み方は「だいとう」ではなく、「たいとう」なので、注意を(念のため)。
不忍池は上野公園内の周囲約2㎞の池。実はかつて、一帯は東京湾の入り江で、その後の海岸線の後退で取り残されて池になったとされる。徳川将軍家の菩提寺、寛永寺を建てる際、琵琶湖になぞらえて池の中央に弁天堂をつくった。
また、区内には浅草の仲見世、上野のアメ横を筆頭に、谷中銀座、かっぱ橋道具街、御徒町ジュエリータウンなど、個性的な商店街が数多い。
東京23区で最も狭いという“称号”を持つ台東区。その分、見どころがぎゅっと詰まっている。コロナ禍のあおりで、外国人観光客が途絶えた今、都民にとって出かける好機到来かもしれない。
文:M&A Online編集部
マスク生産に乗り出す企業が後を絶たない。夏場に向けて蒸れにくく、スポーツ時にも使えるように工夫したものやファッション性を意識したものもある。消費者の支持を得ることができるだろうか。