半導体の再国産化が無理なのは「ウッドショック」を見れば明らか

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半導体不足を受けて政府は国産化強化の旗を振るが…(写真はイメージ)

「価格」ではなく「需要に追いつかなった」

一般に国産材のシェア低下は「輸入材に比べて価格が高すぎたから」と考えられがちだ。確かにその側面もあるが、国産材にはブランド力があり価格競争力も高い。むしろ決定的だったのは国内需要の急増だった。

戦後の焦土からの住宅復興で国内需要は急増したが、それでも年間4500万立方メートル程度。ところが1980年代に入ると、景気拡大に伴う新築建築ラッシュで同1億立方メートルと2倍以上に膨れ上がった。ここまでの量となると、いくらカネを積み上げられても供給を増やすことはできなくなる。供給増の「足かせ」となったのが高齢化と若者の「林業離れ」による「労働力不足」だった。その結果、輸入材が幅を利かせることになったのである。

仮に無理をして国産材の出荷量を増やしたところで、「人生で最も高額な買い物」と言われる住宅需要がいつまでも成長するわけはない。いずれ一息つき、木材需要は冷え込んで輸入材の価格は下落する。そうなれば国産材は輸入材との価格競争に直面することになる。だから国産材メーカーは現在の生産能力の範囲内での増産に留めているのだ。

実は半導体も事情は同じだ。「台湾・韓国・中国メーカーの巨額の設備投資による大量生産で価格競争力を失った」ことが国産半導体の敗因と見られているが、それは「原因」と「結果」が逆なのである。「価格を引き下げるために大量生産をした」のではなく、「急激な需要増に応えるために大量生産した結果、価格が下がった」のだ。

国産メーカーが高シェアを維持していた頃の半導体チップといえば、コンピューターやゲーム機などのデジタル端末に使われるケースがほとんどだったが、1990年代に入ると、テレビや白物家電、通信機器、自動車、産業機械はじめあらゆる工業製品に組み込まれるようになった。

その結果、半導体市場は1990年の約500億ドルから2000年には2000億ドルを突破、2010年代には3000億ドル台と急成長する。この需要増に対応するには巨額の設備投資による生産ラインの増設しかないが、日の丸半導体の黄金時代を築き上げたのは半導体専業ではなく最終製品を持つ大手エレクトロニクスメーカーであり、一部品事業にすぎない半導体で大型投資に踏み切れなかった。

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2021/06/09

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