「仁」の思想ー「なぜ」が人を動かす|M&Aに効く論語2

※この記事は公開から1年以上経っています。
alt
fotokostic(iStock)

広い心と強い意思はビジョナリーの資質

 シネックの「なぜ」と論語の「仁」が重なって感じられる言葉が、論語にもあります。2つの例を見てみましょう。

士は以て弘毅(こうき)ならざるべからず。任重くして道遠し。

仁以て己(おの)が任と為(な)す。亦(また)重からずや。

死して後(のち)已(や)む。亦遠からずや(泰伯第八より)

 弟子である曾子の言葉です。「仁をおのれの任務とする」ことの重さを語っています。その前に「弘毅」でなくてはならないとしています。広い心と強い意思の両方を持っていなければならない、というのです。

 広い心と強い意思とは、ビジョナリーの資質そのものです。将来の展望を持つことができるのは、「なぜ」をしっかり持っている人でしょう。

 広い心は愛です。が、博愛とは限りません。人それぞれに器があるので、その中での愛だと考えていいでしょう。

 (次回に続く)

※『論語』の漢文、読み下し文は岩波文庫版・金谷治訳注に準拠しています。

文:ライター・行政書士 舛本哲郎

NEXT STORY

アクセスランキング

【総合】よく読まれている記事ベスト5