大学発ベンチャーの「起源」(62) Smart119 

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Smart119(千葉市)は千葉大学発の医療機器およびシステム開発ベンチャー。緊急医療の現役医師である同大学大学院医学研究院の中田孝明講師(当時、現・救急集中治療医学教授)が2018年5月に設立した。緊急医療現場で起こっている様々な課題をICT(情報通信技術)を利用して解決することを目指している。

ICTで救急搬送の「たらい回し」を解消

中田社長は一刻を争う救急救命で受け入れる病院が見つからず、救急車が「たらい回し」される状況に胸を痛めていた。さらに夜間の多重交通事故のような、手薄な時間帯に複数の患者が搬送された場合に、医療スタッフを集めるのに苦労するなど、解決したい問題が山積していた。

同社は緊急搬送の「たらい回し」を避けるため、病院と救急隊の業務連携を円滑にする「Smart119 救急医療情報サービス」の開発に乗り出す。開発費を捻出するために日本医療研究開発機構(AMED)が公募する研究費を取得、千葉市消防局との協働開発に取り組んだ。

119番通報を受けた職員と通報者との会話から、場所や状況、容態などの通報内容が音声認識システムで自動的にテキスト化され、救急隊員が持つタブレット端末へ自動転送する。

現場に到着した隊員は患者に応急措置を施しつつ、新たに判明したバイタルサインや容態変化などの追加情報をタップ入力。複数の病院へ一括で受け入れ要請ができる。

2020年7月に千葉市消防局が同システムの本運用をスタート。2021年4月に同サービスの特許を取得した。2022年7月に広島県東広島市が同システムの導入を決めている。

M&A Online編集部

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InnoJinは順天堂大学発のデジタルヘルスベンチャー。情報通信技術を駆使して医療や健康管理のサポートするため、2020年12月に設立された。医療のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、遠隔診断や診療補助、治療などに役立てる。