フランスの著名な映画批評家、アンドレ・バザンは言っています。「映画の美学は現実を明らかにするリアリズムであるべきだ」と。

映画とは、各時代を映し出す、鏡の一つと言えるかもしれません。そしてその鏡は、私たちが生きる現代を俯かんして見るための手助けともなるのではないでしょうか。“今”を見つめるビジネスマン/ビジネスウーマン必見! オススメの最新映画をご紹介します。

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」で再注目された名車の生みの親とは

映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズのアイコン的存在であり、多くの人の胸をときめかせ続けるタイムマシンのベースとなった車「デロリアン(DMC-12)」。

アメリカの大手自動車会社ゼネラル・モーターズ(GM)で史上最年少の昇進を積み重ねたジョン・デロリアンが、最高額65万ドルとも言われた年収を投げ打って独立し、人生をかけて生み出したその車は理想と夢に満ちている。

ある種の成功を収めたデロリアンの波乱万丈の人生を易々とは語り尽くせない。ニック・ハム監督は本作で「デロリアン」誕生のある時期に焦点を絞り、アメリカン・ドリームをつかみかけた一人の男の姿をエンターテイメント要素満載に描き出す。

 映画「ジョン・デロリアン」のあらすじ

© Driven Film Productions 2018

1977年のカリフォルニア。空港でパイロットのジム・ホフマン(ジェイソン・サダイキス)がドラッグの密輸により逮捕される。FBI捜査官のベネディクト・ティーサ(コリー・ストール)はジムに、30年の刑務所行きかFBIに協力するかの二択を迫る。FBIの情報提供者となったジムは、自らの雇い主だった麻薬ディーラーのモーガン・ヘドリック(マイケル・カドリッツ)逮捕に協力する。

人生の再出発のため一家で移り住んだ高級住宅街で、ジョンは自動車業界に革命を起こした天才エンジニアのジョン・デロリアン(リー・ペイス)と出会う。ステンレスの鋼のボディでドアは真横に跳ね上がる翼のようなカルヴィングー全く新しい車の構想を熱く語るデロリアンに、ジムは羨望の眼差しを向ける。

しかし、デロリアンの車の売れ行きはかんばしくなく、会社経営も立ち行かなくなる。モーガンをデロリアンのパーティーに連れてきていたジムの人脈がきれいなものではないと承知の上で、デロリアンは資金調達をジムに相談する。

デロリアンに麻薬取引を依頼されたとFBIに連絡したジムは、モーガンだけでなくデロリアンも逮捕することで得られるだろう見返りに色めき立つ。一方のデロリアンも、周囲の心配に耳をかさず、会社の再建と夢の実現のためならばと犯罪に手を染める決意を固める。

取引を前にそれぞれの野望に燃える二人。果たして、その結末はーーー?

「ジョン・デロリアン」の見どころ

1980年代の建物が残るプエルトリコの街を本物の伝説車たちが疾走!

© Driven Film Productions 2018

 2020年は映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズの公開35周年の記念年だという。世代を超えて長く愛される同シリーズでも存在感たっぷりの、名車「デロリアン」の名前ともなっている人物が、まさか麻薬取引の容疑で逮捕されたことがあるとは…衝撃だ。

2005年に亡くなっているジョン・デロリアンの生涯を語るのに、欠かせないのが彼の名前がついた「デロリアン」であり、その人生をかけた存在である車だろう。ジムとデロリアンが初めて言葉を交わすきっかけとなるのも車だ。

エンジンがかからない愛車「GTO」に苦戦しているジムに声をかけてくる男ーデロリアンは、「GTO」のデザイナーでありエンジンの動作音を聞くだけで原因をピタリとあてて直してしまう。彼の表情や手つきからは、仕事を心底愛していることが伝わってくる。

撮影場所として、1980年代初頭の街並みが色濃く残るプエルトリコの街が選ばれた。ジムの「GTO」をはじめ、車好きでなくとも見惚れてしまうような、伝説級の本物の車が数々走る光景は必見だ。