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法廷の外での熾烈な駆け引きを描く海外ドラマ『ダメージ』

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法廷の外での熾烈な駆け引きを描く『ダメージ』シーズン2 第5話「疑惑の合併」

『ダメージ』は2007年からアメリカのケーブルTV局・FX(Fox extended)で放映された、リーガル・サスペンスのテレビドラマシリーズ。訴訟を勝ち取るためなら手段を選ばない冷酷な弁護士パティ・ヒューズがさまざまな策略を巡らせる。その駆け引きの巧みさと予想を超える展開で話題になった。主演はグレン・クローズで、2012年にシーズン5で完結。原題の「DAMAGES」は「損害、被害、損害賠償額、代価」の意味である。

『ダメージ』シーズン2のあらすじ紹介

パティ・ヒューズ(グレン・クローズ)は旧知のダニエル(ウィリアム・ハート)から助けを求められた。ダニエルは妻の殺人容疑をかけられたのだ。事件を調べて行くうちに、業界第3位のエネルギー会社アルティマ・ナショナル・リソース(UNR)の環境汚染疑惑が浮かび上がる。

一方、シーズン1でパティに利用され、婚約者を亡くしたエレン・パーソンズ(ローズ・バーン)はFBIと手を組み、弁護士として再びパティの事務所で働き始め、パティへの復讐の機会を伺っていた。

第5話「疑惑の合併」では、UNRの合併話が明らかになる。環境汚染疑惑を打ち消したいのはそのためだった。合併すれば2倍の資本力で守りを固めてくると考えたパティたちは、合併を阻止すべく動く。合併の認可権を持つ連邦エネルギー規制委員会にUNRの環境汚染について報告するとともに、UNRの法的な記録と財務報告から合併の裏事情を探っていく。

『ダメージ』ココが見どころ!

●フラッシュバックを巧みに使った時系列トリックで話に引き込む

まず、ラストシーンの一部を切り取り、衝撃的に映し出す。そして、話は過去へ。視聴者の好奇心を刺激する導入部だ。予想していた内容とは大きくかけ離れた真相に驚くだけでなく、何度もフラッシュバックのように映し出されるラストシーンは少しずつ変容し、更なる好奇心を生む。スリリングで先の読めない展開に、ぐっと引き込まれる。

リーガル・サスペンスではあるが、法廷シーンそのものよりも、法廷外での裏切りや駆け引きが中心。第5話「疑惑の合併」でも合併する会社間の法的やりとりはなく、パティたちが合併阻止に奔走する姿を描いている。難解な法律用語は使われず、ストーリーが分かりやすいところもいい。

●卓越した演技力で魅せるグレン・クローズ

主演のグレン・クローズは、『天才作家の妻 40年目の真実』でアカデミー賞7回目のノミネートを果たしたものの受賞を逃したことが記憶に新しい。グレン・クローズといえば、『危険な情事』(1988年)、『101』(1997年)の悪女の印象が強いだろう。本作のパティは、この悪女の系譜。訴訟に勝つためなら手段を選ばない。例えば、シーズン1でパティの事務所がエレンを採用したのは、彼女が訴訟の証人に繋がる人物だからだ。エレン本人は。自分が証人を見つけたつもりだった。パティの思惑通りである。

冷徹な弁護士をクールに演じたグレン・クローズは、シリーズ1の2008年、シリーズ2の2009年と2年連続でエミー賞主演女優賞受賞。しかも2008年にはエミー賞とゴールデン・グローブ賞のダブル受賞となった。

一方、エレンを演じたローズ・バーンも役柄同様、グレン・クローズと対等に渡り合い、2008年にはエミー賞助演女優賞にノミネートされた。さらに、この作品をきっかけにブレイクし、2009年度の最も美しい顔トップ100で1位に輝く。その後、『X-MEN』シリーズや『ピーターラビット』などの映画に出演。めざましい活躍を見せる。

シリーズ2からオスカー俳優のウィリアム・ハートも参加。グレン・クローズと『再会の時』(1984年)で共演しており、パティと騙し騙され合うダニエルを阿吽の呼吸で演じ、作品を盛り上げた。

文:堀木 三紀(映画ライター)

 <作品紹介>

・シーズン1(2007年)~シーズン5(2012年)

ダメージシーズン2

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