最強のキャッシュフロー経営・Amazonに近づけるか

ただ、もちろん支払期間が長期化することで手元資金が増えたとしても、いつかは出品者に対して支払わなければならない。仮に一斉に出品者が振込申請をしてきたときに支払えないということは避けなければならない。そのため、メルカリは17年6月期において215億円の借入れを行っており、さらに今回の上場で約540億円を調達することで、一段と積極的な投資をするための資金集めを行った。

ここで調達した資金は、引き続き国内外での広告宣伝や、新規事業への投資、優秀な人材の獲得・維持に使われるものと考えられるが、これらが功を奏して利益が生まれると、運転資本のマイナスにより生まれる資金も増加し、それを新たな投資にまわして更に利益を生み出し・・・という好循環が生まれる。こうなれば、最強のキャッシュフロー経営として知られるAmazonに近づくことができるかもしれない。

このように、ビジネスと財務諸表を絡めながら見ると、メルカリがどのような経営戦略を実行しているのかを理解する手がかりが見えてくる。もちろんそれだけでビジネスの全容を理解するのは不可能だが、会計的思考を使い、会社の問題点や成長可能性のある点を特定することは十分に可能だ。

そのためには、財務諸表分析の計算式を暗記することではなく、日ごろから「あの会社の財務諸表って、どうなっているんだろう?」と考える習慣をつけることが重要となる。

文:M&A Online編集部