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【識学】買収したプロバスケチームが黒字に 投資も活発化
識学が2020年に傘下に収めたプロバスケットボールチーム「福島ファイヤーボンズ」の運営事業スポーツエンタテインメント部門が、2022年2月期第4四半期に買収後初となる黒字に転換する見込みだ。
-どのような対策が考えられますか。
大きな組織には多くの条件がある。大企業向けの事業開発のコンサルティングにおいて重要視していることは「大企業ならではの力学理解」に共感しつつも、その中でいかに成果を上げるためのレールを敷いてあげるかということ。新規事業をやろうとすると、「既存の事業とぶつかる」「顧客は紹介しません」など制約条件が多く発生する。ルールの中で戦うことは前提にありつつも、やってはいけないことや組織的なルールを減らして勝負させてあげないと成功は難しいだろう。
新規事業は立ち上げることさえ難しく、ある程度売り上げが立つようになるのはさらに難しく、継続するのに意味があるほどの売り上げと利益を確保するのはもっと難しい。宝くじの1等を当てるのが難しいのは分かっているので、外れても宝くじを当てるのは難しいとは言わないが、新規事業についてはあまり知らないので、収益を上げるのは難しいという。
まずは新規事業を収益化するのは、そんなに簡単なものではないと考えておかなければならない。ただでさえ、ゼロからイチを作るのが難しいのに、そこに社内の承認だとか、いろんなハードルを課したら、ただでさえ当たらないものがもっと当たらなくなる。
-ベンチャーやスタートアップも状況は同じでしょうか。
ベンチャー企業は、確かに創業者は新規事業を立ち上げた実績があるが、創業者以外の人たちは、新規事業を立ち上げるのが得意な人ばかりが集まっているのかというとそうでもない。若いからとか、ベンチャーにいるからということだけで、事業を開発する力があるということではないだろう。そこは大企業との差はあまりないと考えている。
-今後に事業展開についてお教え下さい。
現在、タイに拠点を構えており、ここで20人くらいが働いている。大変うまく回っており、全体の売り上げの10%ほどを上げており、利益ではもっと貢献している。タイから東南アジアのいくつかの国に出張するなどして、アジアでの事業を広げていく計画だ。将来は国内と海外の売り上げは半々くらいにしたと考えている。
【略歴】関厳(せき・いわお)氏
2002年に東京大学教育学部卒業後、大手経営コンサルティング会社に入社。
2012年にリブ・コンサルティングを設立。リブ・コンサルティングの代表のほかImpact Venture Capitalの代表パートナーも務める。
国内唯一のコンサルタント認定資格J-CMC(国際基準)を持つ。
聞き手・文:M&A Online編集部 松本 亮一
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識学が2020年に傘下に収めたプロバスケットボールチーム「福島ファイヤーボンズ」の運営事業スポーツエンタテインメント部門が、2022年2月期第4四半期に買収後初となる黒字に転換する見込みだ。