M&Aで繰越欠損金をどう考えるか

 被買収会社の繰越欠損金が使用できる場合には、税金が安くなりますので、その節税効果分を考慮して買収対価を決定することになります。しかし、繰越欠損金が使えるかどうか判断するためには、非常に複雑な判定が必要となります。判断を誤ると、買収対価の設定も誤る可能性があり、トラブルの元です。

 さらに、今回ご紹介したお話ではすべてがカバーされているわけでもありません。被買収会社、買収会社に繰越欠損金や含み損のある資産がある場合は、必ず税理士や公認会計士等の専門家に相談することをおすすめいたします。

 では判定の結果、繰越欠損金の引継制限や使用制限、特定資産譲渡等損失の損金不算入の規定にひっかかってしまう場合はどうすればよいのでしょうか。最も容易に実現可能な方法としては、経営統合を急ぐ必要がないのであれば、5年50%超の関係ができるまで、統合を延期することが考えられます。

 ただし、繰越欠損金には繰り越せる期限がありますので、5年経つのを待っている間に繰越欠損金が消えてしまわないかどうかの判断も必要です。また、繰越欠損金を使用するためだけに、必要があるとの判断を下している経営統合を延期するというのでは、本末転倒です。

 M&Aの場合には、「被買収会社の繰越欠損金はもしかすると使えないかもしれない」ということを前提にして、経営方針や事業目的に沿ってストラクチャや将来的な道筋を固めてから、そのストラクチャの場合に繰越欠損金の取扱いがどうなるかを判断するくらいのスタンスの方が、よいのではないでしょうか。

文:Naoko Yamamoto(税理士・中小企業診断士)/編集:M&A Online編集部