コロンブスは航海日誌を両国王以外にも送っている。宛先はアラゴン王国のルイス・デ・サンタンゲル会計検査院長である。祖父の代にユダヤ教徒からキリスト教徒に改宗した「新キリスト教徒」と伝わる宮廷ユダヤ人だ。
サンタンゲルは、ディマンディングなイタリア人船乗りの要求に合理的説明を与えようと努力した。また、航海の不可能性に対する全方位からの猛反対を説き伏せた。そして、それでも最後まで首を縦に振らなかった両王に代わり、最後には航海資金そのものを工面した。
サンタンゲルとその仲間こそは、この航海のもう一人の主役であり真のスポンサーである。世界史に最も重要な影響をもたらした宮廷ユダヤ人の一人といっても良い。
このコラムでは既に幅広く研究されているコロンブスの航海そのものより、この航海のシードインベスターでありリードインベスターであったサンタンゲルとこの航海における彼の資本政策に焦点を当てて考察してみよう。
文:西澤 龍(イグナイトキャピタルパートナーズ 代表取締役)
IGNiTE CAPITAL PARTNERS株式会社 (イグナイトキャピタルパートナーズ株式会社)代表取締役/パートナー
投資ファンド運営会社において、不動産投資ファンド運営業務等を経て、GMDコーポレートファイナンス(現KPMG FAS)に参画。 M&Aアドバイザリー業務に従事。その後、JAFCO事業投資本部にて、マネジメントバイアウト(MBO)投資業務に従事。投資案件発掘活動、買収・売却や、投資先の株式公開支援に携わる。そののち、IBMビジネスコンサルティングサービス(IBCS 現在IBMに統合)に参画し、事業ポートフォリオ戦略立案、ベンチャー設立支援等、コーポレートファイナンス領域を中心にプロジェクトに参画。2013年にIGNiTE設立。ファイナンシャルアドバイザリー業務に加え、自己資金によるベンチャー投資を推進。
横浜国立大学経済学部国際経済学科卒業(マクロ経済政策、国際経済論)
公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員 CMA®、日本ファイナンス学会会員
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