コロンブスは航海日誌を両国王以外にも送っている。宛先はアラゴン王国のルイス・デ・サンタンゲル会計検査院長である。祖父の代にユダヤ教徒からキリスト教徒に改宗した「新キリスト教徒」と伝わる宮廷ユダヤ人だ。
サンタンゲルは、ディマンディングなイタリア人船乗りの要求に合理的説明を与えようと努力した。また、航海の不可能性に対する全方位からの猛反対を説き伏せた。そして、それでも最後まで首を縦に振らなかった両王に代わり、最後には航海資金そのものを工面した...
ユダヤ陰謀論を流布したフェイク本「シオン賢者の議定書」に触発され、これを自らの信念の実現に大いに利用できると考えた男が、ドイツ帝国で急速に台頭する。アドルフ・ヒトラーだ。ヒトラーが率いたナチスドイツは「積極的キリスト教」運動を展開する。
スペインに渡ったユダヤ教徒たちは、どのようにして経済的に自立し、定住したのか。そして、どのような経緯で、金融の発展に関わっていくことになるのか。今回から本題となるユダヤ教徒と企業金融(コーポレートファイナンス)の歴史について触れていきたい。
投資ファンドは「1株1議決権」を前提として、株主権を存分に行使してリターンの最大化を目指す。ある意味、米国株主資本主義を究極まで純化した存在といえる。その投資ファンドが自らは一般株主の権利を著しく制限する特殊な議決権構造を採用しているのだ。