そうなると日本での「敵基地攻撃能力」の実効性も怪しくなる。米国は自国製の兵器を売り込めるとあって「抑止力」としての敵基地攻撃能力の整備は認めているが、いざ「有事」となった場合には日本の独自判断による他国への攻撃を許さないだろう。
日本政府が米国に敵基地攻撃を打診したところで、世界第2位の経済大国で米国としては最大の貿易相手国である中国本土の敵基地攻撃には消極的になるはずだ。それどころか北朝鮮に対してすら、日本による基地攻撃を認めない可能性すらある。金正恩最高指導者の号令一つで暴走しかねない北朝鮮軍による核兵器の使用を懸念するからだ。
実際にロシア軍から1年近く本土侵略を受けているウクライナに対してですら、米国は敵基地攻撃を牽制した。日本が「敵基地攻撃能力」を利用できるのは、米国が本格的な参戦を決意し、その「補完戦力」として利用される時だけだろう。
文:M&A Online編集部
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