経済産業省は8月31日、2023年度予算概算要求・税制改正要望を発表した。中小企業対策費に前年度当初予算に248億円を上積みした1,343億円を計上し、後継者支援ネットワーク事業(4億円)を新規で盛り込んだ。事業再構築を容易にするために必要な税制上の措置も検討する。
経産省の概算要求総額は前年度予算当初比1,680億円(13.7%)増の1兆3,914億円で、一般会計は同674億円(19.2%)増の4,186億円。中小企業対策費はデジタル庁に一括計上する情報システム予算のうち中小企業対策に関連する項目を含めると1,364億円に上り、「創業・事業承継を通じた挑戦・自己変革の推進」を柱の1つに掲げた。
中小企業活性化・事業承継総合支援事業(225億円)は前年度当初予算額に67億3,000万円を上乗せし、中小企業活性化協議会と事業承継・引継ぎ支援センターによる円滑なサポートを実施する。M&A時の専門家活用や廃業にかかる費用、統合後の経営革新を後押しする事業承継・引継ぎ支援事業も3億7,000万円増の20億円とした。
後継者支援ネットワーク事業は後継者同士が切磋琢磨できる場を創出するのが狙いで、家業を活かした新規事業アイデアを競うイベントを開催する。
中小企業信用補完制度関連補助・出資事業では、創業時の借り入れ時における経営者保証を不要とする信用保証制度を新設。前年度当初予算額を17億9,000万円上回る67億7,000万円を配分する。
このほか、複数の中小企業などが連携する、ものづくり等高度連携・事業再構築促進事業(10億6,000万円)や小規模事業対策推進等事業(54億8,000万円)、円滑な事業承継の促進も成果目標とする中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業(54億円)なども軒並み増額を要求した。
また、長期化するコロナ禍・物価高騰などの環境下にある中小企業・人材などに必要な支援は経済産業政策の重点に関連する事項要求とし、予算編成過程で具体的な取り組みを検討する。
岸田文雄首相が目指す「新しい資本主義」の重点投資分野であるスタートアップ・イノベーションでは、社会実装・市場獲得の早期化などを図る国際ルール形成・市場創造型標準化推進事業(25億円)を新規計上。スタートアップの海外展開支援や地方でのスタートアップ・エコシステムなどを強化するユニコーン創出支援事業(10億2,000万円)にも乗り出す。
文:M&A Online編集部