「アフター五輪」で東京のマンションが値崩れしない三つの理由

alt

理由その3 そもそも供給戸数が少ないから

同研究所の「首都圏マンションの市場動向」によると、2020年1−12月の首都圏の民間分譲マンション供給戸数は前年比12.8%減の2万7228戸だった。過去最多だった2000年の9万5635戸の3分の1以下のレベルにまで落ち込んでいる。供給が少なければ価格が上昇するのは当然だ。

もともと首都圏には人口が集中しており、工場など大型施設の跡地や埋立地、再開発といった新規の遊休地がなければ大型マンションは建設しにくいという事情がある。しかし、都心の工場はすでに多くが移転済みで、埋立地も一朝一夕に拡大するわけではない。再開発も都心部が中心で、地価や利便性の高さから分譲マンションは高額になる。

タワーマンション「大川端リバーシティ21」(東京都中央区)はIHIの造船所跡地に建設された

供給が急増する見込みはなく、分譲マンションの総需要は伸びないにしても価格は高止まりのまま推移しそう。だが、いつまでも高騰し続けるわけではない。一般に住宅購入価格は、マンションの場合で年収の7.1倍が上限と言われている。今年8月の平均分譲価格の7452万円を購入できるのは、年収1050万円の世帯となる。

総務省の「課税標準額段階別所得割額等に関する調査」によると、東京都で最も高い港区の平均年収は1163万1584円で、首都圏の平均的なマンションを購入できる計算だ。東京都全体の平均年収では595万2300円だが、夫婦ともに正社員で働く共稼ぎ世帯であれば買えないことはない。

とはいえ、いずれもギリギリ。これ以上、分譲価格が値上がりすれば、需要は限られた富裕層のわずかな実需か投資に限定されるだろう。とはいえ、金利の上昇が確実視される中で、高止まりした不動産に投資するのはリスクが高い。供給戸数の少なさで価格を維持できるのも、そう長くはなさそうだ。

文:M&A Online編集部

M&A Online編集部

M&Aをもっと身近に。

これが、M&A(企業の合併・買収)とM&Aにまつわる身近な情報をM&Aの専門家だけでなく、広く一般の方々にも提供するメディア、M&A Onlineのメッセージです。私たちに大切なことは、M&Aに対する正しい知識と判断基準を持つことだと考えています。M&A Onlineは、広くM&Aの情報を収集・発信しながら、日本の産業がM&Aによって力強さを増していく姿を、読者の皆様と一緒にしっかりと見届けていきたいと考えています。


NEXT STORY

2018年は住宅建築業界でM&Aが加速する

2018年は住宅建築業界でM&Aが加速する

2017/12/05

相続税対策の賃貸バブルが支えた住宅新築が頭打ちに。次に来るのはM&Aだ。

アクセスランキング

【総合】よく読まれている記事ベスト5