CNNは同1月22日、「世界経済を後押しするトランプ減税」を掲載。IMFが3.9%という2018年の世界の経済成長率を発表し、その成長の理由の「半分」はアメリカの税制改革にあるとのコメントを掲載した。
アメリカの成長の恩恵は、貿易相手国であるメキシコやカナダにも及ぶとしている。もっともIMFはその隆盛を「はかない(fleeting)」と表現。その理由として、税の効果の一時性と巨額の借金財政がアメリカの成長を2022年から鈍化させうることを指摘し、警鐘を鳴らした。
IMFは経済成長率に対する楽観論の「残り半分」の理由は、ヨーロッパやアジアの急速な成長にあるとした。特にユーロ圏の経済成長は推定を上回り、今年は2.2%、2019年は2.0%の成長が期待されている。
「短期的には、この勢いは全世界で続くだろう」とIMFは推測したうえで、「長期的に今の弾みが続くかどうかは複数のリスクによる」と分析した。具体的なリスクとしては、不平等、気候変動、政治的不安定、そして貿易の障壁を招きやすい「内向き志向(inward-looking policies)」を挙げた。
カリフォルニア大学バークレー校のモーリス・オブストフェルド教授も同様の趣旨のコメントを寄せている。「現在の経済の勢いは、長続きする見込みの小さい要因を少なからず抱えている。次の危機は、我々が考えているよりも身近にある」。
米国第一主義の輸入制限表明が、好況にブレーキをかけるか
同3月1日のブルームバーグは、「『トランプ政権の関税は自動車メーカーに悪影響』とトヨタがコメント」という見出しの記事を掲載した。アメリカ国内への鋼材輸入に25%、アルミニウム輸入には10%の関税引き上げを実施した場合、日本の自動車メーカーが受ける影響を試算。
トランプ減税がもたらす恩恵も、コスト上昇に伴う製品の値上げにより打ち消される可能性があると示唆している。「新製品や新工場のための投資は、既存の製品の鉄鋼やアルミ等原料代を支払うために、ファネル(funnel*)されていくだろう」と分析する声もある。
一国の「内向き志向」が現在の活況に水をさす可能性については、IMFもコメントしているとおりである。トランプ大統領が発表した、鋼材・アルミに対する関税引き上げをその徴候と見る向きもあるだろう。今後の動向を見守りたい。
*【編集部注】funnelには(集めた上で)…に集中する、注ぐ、つぎ込む、送るなどの意味がある。
<参照>
http://www.foxbusiness.com/mar...
http://www.autonews.com/article/20180206/OEM/180209841/trump-taxes-gm-ford-toyota-policy
http://www.ibtimes.com/president-trumps-tax-reform-creating-jobs-united-states-2640819http://money.cnn.com/2018/01/22/news/economy/imf-trump-tax-cuts-global-economy/index.html?iid=EL
文:Yuu Yamanaka/編集:M&A Online編集部
カスペルスキーとは、モスクワに本社を置くサイバーセキュリティー会社です。サイバー攻撃に北朝鮮が関与している可能性が強いとの見方を示したことで、この名前をこのところ頻繁に耳にするようになりました。