ソフトバンクが英国ARMホールディングスを3.3兆円で買収と、久々に話題の大型M&Aが報じられた。いつもは企業買収(M&A)に無関心な人たちも今回は新聞やネットの記事に目を通したことだろう。

 この機会にM&Aの用語を知りたいと興味を持った人たちに向けて、メガディールの多かった1980年代のアメリカの実例を引きながら紹介したいと思う。

■1980年代アメリカのM&A

 アメリカでは、過去に何度もM&Aブームが起こっている。1960年代は合併が主流のM&Aが盛んであった。そして次にブームとなったのが、1980年代の巨額な資金調達がもたらした案件の大型化と敵対的買収である。

■図表1 1980年代の主な米国M&A

公表年 企業 スキーム 金額
1981年 デュポン/コノコ 買収 78億ドル
1984年 シェブロン/ガルフオイル 合併 133億ドル
1984年 テキサコ/ゲッティオイル 買収 101億ドル
1988年 コールバーグ・クラビス・ロバーツ/RJRナビスコ 買収(LBO 245億ドル
1988年 フィリップ・モリス/クラフト 買収 131億ドル
1989年 スミスクライン・ベックマン/ビーチャムグループ 合併 160億ドル
1989年 ブリストル・マイヤーズ/スクイブ 合併 120億ドル

(筆者作成 金額は概算)

 コールバーグ・クラビス・ロバーツ/RJRナビスコの買収に代表されるように、80年代後半のアメリカでは、LBO(レバレッジド・バイアウト)による企業の再編活動が極めて活発に行われていた。

 LBOという手法は多額の借入金をすることが必要で、買収時に背負った借金がターゲットとなった会社に押し付けられる結果となる。

 運悪くターゲットとなってしまった会社は事業に必要な投資ができなくなり、もっぱら借入金の返済と利払いに資金が吸い込まれていく。なかには買収後に会社を解体し、「バラ売り」して資金回収を図る投資家も出てきた。このため、LBOは少なからず社会的な批判を受けた。