■ライブドア/ニッポン放送の買収合戦(2005年)

 グッドイヤー・タイヤの事例(1986年)を前回ご紹介したが、こうしてみると当時話題となったライブドア/ニッポン放送(2005年)の騒動と似ていることがよくお分かりいただけると思う。

 ライブドアの背後には投資銀行のリーマン・ブラザーズ(Lehman Brothers 2008年倒産)がおり、これがMSCB(Moving Strike Convertible Bond;転換価格修正条項付転換社債)という聞きなれない方法で買収資金を貸し出したことにより、積極果敢な株式の買い付けができたこと、ニッポン放送が株式市場において本来の価値よりも低い株価しかついていなかったこと、結果的にニッポン放送が上場廃止になったこと、ニッポン放送経営陣の対応が後手に回ったことなど、本当に似ている。

 ライブドア/ニッポン放送の騒動の過程では、フジテレビの株式やポニーキャニオンの株式など優良資産を第三者に売却してしまうことも検討された。その他の買収防衛策として、ゴールデン・パラシュートなどの方法もあるが、いずれにしても買収防衛策は”諸刃の剣”である。

 つまり、ポイズン・ピルにせよ、クラウン・ジュエルにせよ、企業価値を意図的に毀損させることによって相手の買収意欲を削ぐことが戦略の基本にあるからだ。