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ホーユーだけじゃない!中小の4分の1が「赤字転落」の給食業界

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ホーユーの事業停止で、全国の学生寮や社員食堂で食事が提供できない事態に(写真はイメージ)

入札制度の「罠」で、業界全体が大幅な減益に

全国の給食事業者も同様の問題に直面している。東京商工リサーチによると、給食業界の2022年度売上高合計は大企業(11社)が前期比2.7%増の5698億6200万円、中小企業(206社)が同4.5%増の6393億7300万円と、コロナ禍の終焉(しゅうえん)で回復基調にある。一方、同年度の利益合計は大企業が同18.7%減の159億4200万円、中小企業が同27.3%減の131億3900万円と、いずれも大幅減益となった。

コロナ禍による需要減の流れを受けて入札の過当競争が生じ、仕事量の確保を最優先して低額で落札をしたのが原因だ。実際に運営を始めたところ、物価高と人件費の高騰という大幅なコスト増で利益が出ない状況に陥ったと見られる。入札制度の「罠」に陥ったと言えそうだ。大企業はスケールメリットでコストを吸収できるが、中小企業では難しい現状が浮き彫りになった。

給食業界では生き残りをかけたM&Aが活発になりつつある。上場企業によるM&Aだけでも、今年2月に三井物産<8031>が給食大手のエームサービス(東京都港区)の株式50%を合弁相手の米アラマーク(ペンシルベニア州)から取得し、完全子会社化すると発表。8月にはヤマタネ<9305>が丸紅<8002>傘下で弁当・給食向け業務用食品卸のショクカイを、69億4600万円で子会社化すると発表した。

大手傘下の給食関連企業ですら、M&Aによる規模拡大で生き残ろうとしているのだ。今後は大手、中小・中堅の規模を問わず、M&Aによる給食ビジネスの業界再編が加速するのは間違いないだろう。

文:M&A Online

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