M&Aも最後の最後は「運次第」

【では、どうすればよかったか】「パイオニアに先見の明がなく、将来性のないプラズマに傾注したのが失敗だった」と批判されるが、2004年時点で液晶の勝利を予見するに足る合理的な判断材料はなかった。つまり液晶を選択したシャープは、単に「運が良かった」だけである。

プラズマ撤退の「見切り」も、決して遅くない。2012年半ばに世界テレビ出荷台数シェアは、液晶が約85.5%に対してプラズマは約6.1%と、旧世代のブラウン管(約8.4%)を下回る有様だった。パイオニアの撤退決定が数年遅れたら、同社はすでに存在していないだろう。

2014年11月に韓国勢のサムスン電子、LG電子が同時にプラズマから撤退した。逃げ遅れたパナソニックプラズマディスプレイは、2016年11月に製造業としては過去最高となった約5000億円の負債を抱えて倒産している。

逃げ遅れた旧パナソニックプラズマディスプレイの尼崎工場(Photo By Asacyan)

パイオニアに失敗があったとしたら、それは「運がなかった」に尽きる。つまり「どうしようもなかった」のだ。だが、それはどんな優れた企業であっても、「成功が約束されたM&A」など存在しないということだ。実はそれがM&Aで最も「怖い話」なのだ。

文:M&A Online編集部