赤字覚悟の引き取りか「追い銭」売却しかない

クッシングでの原油在庫は、同2月末以降で48%も急増して約5500万バレルに。クッシングの貯蔵能力は7600万バレルで、現在のペースで在庫が積み上がると5月第1週までに満杯になるという。

だから4月21日に引き渡し期限が来る5月物がマイナス、すなわち「お金を支払うから原油を持っていってくれ」ということになったのだ。「ペットボトルの水より安い」と揶揄されてきた原油だが、もはや産業廃棄物扱いである。

もちろん期限までに先物の権利を売り抜ければ、現物を引き取る必要はない。が、こうした状況が変わらなければさらに安いマイナス価格で売る、つまり受け取った金額にさらに上乗せした額を支払って新たな買い手に引き取ってもらうことになる。

新たな買い手が見つからなければクッシングの貯蔵施設に保管料を支払うか、もしくはタンクローリー車を差し向けて原油を移送するしかない。当然、移送費に加えて新たな貯蔵施設での保管料も必要になる。

マイナス価格の原油先物に「買い」を入れても、売り抜けられなければ大赤字に(Photo by formysucces)

現在の「石油余り」の状況だと、高値で原油を販売するのは無理な話だ。マイナス価格で原油を引き取ったところで、移送費や貯蔵費で大赤字になるのは目に見えている。だからこそ「マイナス価格」が成り立つ。「タダほど怖いものはない」というが、マイナス価格はもっと怖いのだ。

文:M&A Online編集部