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エフエム東京の会計不正「連結はずし」の動機は経営責任隠し

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会計不正以外の問題点も指摘

第三者委員会の調査報告書によると、TS社で生じた赤字の影響を排除するため、エフエム東京などが保有するTS社株を形式上譲渡することによって議決権比率を下げ、連結の範囲から外したということです。なお、報告書では、こうした会計不正のほかに複数の不公正な取引が取り上げられています。

例えば、指定金銭信託という仕組みを通じてTS社に貸し付けを行った際の手続が問題視されています。本来は、重要な業務執行として取締役会決議を経る必要があったとのことです。個別の貸付についても適時の報告がなされて然るべきとの指摘がなされています。

また、ラジオ番組に関連する取引において、エフエム東京と本来の広告代理店との間にTS社を二次代理店として関与させ、代理店手数料を収受させていたことが指摘されています。これは実質的にみると、債務超過に陥っていたTS社への資金援助であり、やはり適切な審議を欠いた取引と評価されています。

不正のきっかけは新事業の業績悪化

それでは、TS社が業績不振に見舞われたのはどのような経緯によるものでしょうか。TS社が取り組んでいた事業は「i-dio」と呼ばれる放送サービスです。これは、アナログテレビが放送終了した後の周波数帯を利用した、既存のテレビでもラジオでもない「第3の放送」という触れ込みの新メディアでした。

基地局の開設や放送事業に必要な許認可は他のグループ会社が担い、TS社は番組の企画制作を手がけました。エフエム東京がこの新メディア事業に投資した額は実質的に100億円に上るという見方もあります。しかし、TS社の業績は赤字続きで2018年3月期には債務超過に陥りました。

報告書によると、経営陣の間には、i-dio事業に関して撤退を含む抜本的な見直しを先送りにしたい、あるいは多額の投融資に対する経営責任を回避したいという動機があったのではないかと分析されています。また、こうした動機が実際の不正につながった背景として閉鎖的な組織風土やガバナンスの不全が挙げられています。

事件の発覚後、経営陣を刷新した判断は一定の評価を得ています。新体制のもと、信頼回復と魅力的なサービスの開拓を行えるかが注目されるところです。

文:北川ワタル

北川 ワタル

経歴:2001年、公認会計士2次試験合格後、監査法人トーマツ(現有限責任監査法人トーマツ)、太陽監査法人(現太陽有限責任監査法人)にて金融商品取引法監査、会社法監査に従事。上場企業の監査の他、リファーラル業務、IFRSアドバイザリー、IPO(株式公開)支援、学校法人監査、デューデリジェンス、金融機関監査等を経験。マネージャー及び主査として各フィールドワークを指揮するとともに、顧客セミナー、内部研修等の講師 、ニュースレター、書籍等の執筆にも従事した。2012年、株式会社ダーチャコンセプトを設立し独立。2013年、経営革新等支援機関認定、税理士登録。スタートアップの支援からグループ会社の連結納税、国際税務アドバイザリーまで財務会計・税務を中心とした幅広いサービスを提供。

学歴:武蔵野美術大学造形学部通信教育課程中退、同志社大学法学部政治学科中退、大阪府立天王寺高等学校卒業(高44期)

出版物:『重要項目ピックアップ 固定資産の会計・税務完全ガイド』税務経理協会(分担執筆)、『図解 最新 税金のしくみと手続きがわかる事典』三修社(監修)、『最新 アパート・マンション・民泊 経営をめぐる法律と税務』三修社(監修)など

北川ワタル事務所・株式会社ダーチャコンセプトのウェブサイトはこちら


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