各国における「ビッグマック」の販売価格で購買力平価を比較した数値を「ビッグマック指数」と呼ぶ。この指数が高いほど、通貨の「実力」が高いことになる。英 「エコノミスト」誌が毎年発表しており、2022年2月に最新の指数が公表された。
それによると、日本は390円で、804円と最も高いスイスの半額以下。3位の米国は669円で日本価格を米国価格(5ドル81セント)で割った同67.12円と名目為替レートの差が通貨の「実力」だ。単純に言えば日本円よりも価格が高ければ、その国の通貨は「強い」ということになる。
問題は順位で、15位のシンガポール(503円)、26位の中国(442円)、27位の韓国(440円)といったアジア諸国を下回る33位だ。現在よりも円安だった1989年のビッグマック価格は米国が269円だったのに対して、日本は370円と高かった。だから現在よりも円安だったにもかかわらず、海外旅行や輸入品の買物でも「割高感」がなかったのである。
ある国の貿易額における相手国別の割合を元に、その国とそれぞれの貿易相手国の通貨との為替レートを加重平均して算出する「実効為替レート」では、50年前の1972年と同じという。この年の平均為替レートは同305円だった。つまり「輸入品を買う」あるいは「海外旅行を楽しむ」時の経済的な負担は、見かけの為替レートよりも大幅に円安なのだ。
ユニクロの製品が一気に1000円も上がり、「便乗値上げではないか」との声も上がっている。しかしコロナ禍が解消し、日本人の海外旅行が本格的に再開すれば、決してオーバーな値上げでないことが分かるだろう。同時に「円の弱体化」を痛感することになる。
文:M&A Online編集部
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