SL毎日運行に取り組む関東の雄・東武鉄道|人とものを「運ぶM&A」

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“SLの先輩”たちの協力を得て蘇るC11形207号機(RERE0204/写真ac)

関東私鉄の雄。総営業キロ数で関東1位の463.3キロ。206駅。1日平均252万人の旅客輸送実績(2019年度)を誇っている東武鉄道。全国でも近畿日本鉄道(総営業キロ程501.1km)につぐ規模だ。

それでいて、東武に対するイメージは利用している人によって大きく違ってくる。というのも、東京、千葉、埼玉、栃木、群馬と路線が広がっており、東武スカイツリーライン・伊勢崎線(いわゆる本線。浅草から伊勢崎)、日光線(東武動物公園から東武日光)、東武アーバンパークライン(大宮から船橋)、そして東武東上線(池袋から小川町、寄居)の幹線とあまりにも幅広い。

支線も東武亀戸線、東武佐野線、東武小泉線、東武桐生線、東武宇都宮線、東武鬼怒川線、東武越生線、さらに西新井と大師前を結ぶだけの東武大師線もあって、東武を語るだけで何冊もの本が出来てしまうに違いない。

日光を結ぶ華やかな「スペーシア」の一方で踏切対策も進める

この数年の中心的な話題としては、特急「スペーシア」をはじめ多彩な特急群。関東を代表する観光地日光とのアクセス、東京スカイツリー駅とその周辺の開発(ソラマチ、ミズマチ)、そしてなにより東京の観光地として歴史ある浅草を始発としており実に豊富。コロナ禍にあってインバウンド需要が見込めない中で修正もかけているが、普段使いだけではない総合的な大鉄道会社である。

100系スペーシア、200型りょうもうのデビュー30周年記念として、2021年6月5日からリバイバルカラー車両を運行しているのも話題だ。

一方、困難を極めている側面もある。多くの人がいまだに記憶に新しい東武伊勢崎線竹ノ塚駅踏切死傷事故(2005年)に象徴されるような、開かずの踏切問題に代表される安全面の確保は、時間と費用のかかる経営課題だ。高架への転換を進め、ホームドア設置にも取り組んでいる。2021年度以降の設備投資として、竹ノ塚駅付近高架化(踏切2カ所廃止)、清水公園~梅郷間高架化(踏切11カ所を廃止)、とうきょうスカイツリー駅付近高架化(踏切1カ所を廃止)、春日部駅付近高架化(踏切10カ所を廃止)。ホームドアは2021年度3駅に設置(竹ノ塚駅、獨協大学前駅、越谷駅)といった具合。

耐震補強をはじめとした、安全面、災害対策を強化しているほか、快適性のための駅舎の改築、車両の新造なども続いている。

SL大樹の毎日運行を開始

206駅のうち乗降客で上位を見ると下表のようになる。当然ながら駅によって大きな差がある。

大きな差がある乗降客数(206駅のうち乗降客で上位。2020年度1日平均より5万人超を抜き出した)。出所:東武鉄道「駅情報(乗降人員)」

駅名 1日平均乗降客数(人) 路線
北千住 334,111 伊勢崎線
池袋 330,544 東上線
和光市 129,324 伊勢崎線
朝霞台 119,009 伊勢崎線
新越谷 112,019 伊勢崎線
111,864 アーバンパークライン
大宮 101,472 アーバンパークライン
船橋 89,646 アーバンパークライン
川越 87,676 東上線
押上 78,021 伊勢崎線
志木 77,230 東上線
草加 68,850 伊勢崎線
朝霞 55,069 東上線
西新井 51,624 伊勢崎線

日光・鬼怒川という関東圏でも有数の観光地と都心部を結ぶ鉄道として知られているとはいえ、表のようにその収益の多くは都市部で発生している。

それだけに、都市部での満足度、地域貢献度の拡充は当然のことだろう。だが、それだけでは東武を語ることはできないのである。なんといっても、東武には観光面、いわば夢の提供へも力を入れないわけにはいかない。

2021年7月31日から、SL大樹の毎日運行を開始した。いま比較的乗車しやすい蒸気機関車(SL)による列車運行は下表の通り。主にJR系だが、大手私鉄として東武は本気でSL運行に取り組んでいる。

主なSL運行路線

鉄道会社 路線 名称
JR 北海道、釧網線 SL冬の湿原号
東日本、釜石線 SL銀河
東日本、磐越西線 SLばんえつ物語
東日本、上越線 SLぐんま みなかみ
東日本、信越本線 SLぐんま よこかわ
西日本、山口線 SL「やまぐち」号
九州、鹿児島本線・肥薩線 SL人吉
真岡鐵道 真岡線 SLもおか
秩父鉄道 本線 SLパレオエクスプレス
大井川鐡道 大井川本線 SLかわね路号、きかんしゃトーマス号

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