「有事は買い」⁉ 感染症リスクと株式相場の関係
有事は買い⁉ 戦争や自然災害などでよく引き合いに出される相場格言。これは今流行っている新型肺炎を巡る感染症リスクにも通用するのだろうか。過去の感染病発生時とその後の株価について検討してみた
フルッタフルッタは、アサイーの他にアグロフォレストリー・カカオ豆の販売も行っています。これは森林伐採後の荒廃した土地に、自然の生態系に沿った形でカカオ豆などの農作物を栽培するというもの。環境に配慮した商品需要の高まりを背景に、大手菓子メーカーなどがアグロフォレストリー・カカオ豆を採用した商品を売り出しました。しかし、需要は伸びずに2019年3月期のこの部門の売上高は3億6000万円に留まっています。アサイーブームが収束する裏で、新たな収益柱を立てられなかったことが今の苦境を招いたといえます。
カフェ事業においては、国内の渋谷ヒカリエ店の他に、海外初となるアサイーカフェ2号店を2019年1月台湾に出店しました。しかしながら、出店場所の「微風南山アトレ」そのものの集客状況が悪く、店舗オペレーション構築にも時間がかかったため、早くも2019年3月期に減損損失を計上しています。国内のブーム終了や、台湾の健康志向などを背景に海外への出店。これは一足飛びの印象がぬぐえません。
2019年に一大ブームを巻き起こしたタピオカ店は、流行がやってくる前でも地方のショッピングモールなどに店舗を構えていました。フードコートや観光地、動物園、水族館などの施設は、一定の客数が見込めます。アサイーカフェも、地方都市などに小型の店舗を構えて小さく稼ぐ方法をとっていたら、今とは違う姿になっていたかもしれません。
台湾に出店した費用のうち13億円は、マイルストーン・キャピタル・マネジメント(本社:東京都千代田区)から新株予約権の発行によって調達したものでした。その資金をいわば溶かしてしまったことになります。
上場廃止を回避すべく、2020年1月にEVO FUNDを引受先とする新株予約権を発行しました。潜在株式数は577万5200株。調達額は2億8876万円で、行使額は50円。このような資金調達をした場合、株価は確実に下がります。そして、ファンドは確実に儲けを出すことができます。債務超過に陥った企業が、金融機関から借り入れができないときなどによく使われる手法です。簡単にその仕組みを説明します。
今回の新株予約権の行使価額は50円でした。フルッタフルッタの株価は300円台でした。ファンドが株価300円で100万株の空売りを仕掛けたとします。3億円の現金と100万株の借株が残ります。この100万株を返却するため、新株予約権を行使すると、100万株を5000万円(行使価格50円)で調達できます。差額は2億5000万円で、これが儲けになります。このようにして安定した儲けを出すことができるのです。しかし、大量の空売りをされ続けるので、株価は下落します。フルッタフルッタは2月7日に199円まで下落しました。
新株の発行は300%を超える希薄化を引き起こすと、上場廃止基準に抵触します。今回の発行でおよそ296.2%と抵触ぎりぎりの希薄化が生じました。また今回の新株予約権行使だけでは債務超過解消が見込めないことから、DESなども検討しているようです。
フルッタフルッタに残された時間はごくわずかです。7億円以上もの資金調達がこれから可能なのか。その動向に注目が集まっています。
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